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なぜ秋元康は批判を受けるのか? 誰もが手にできる、プロデューサーに必要な能力とは?

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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なぜ秋元康は批判を受けるのか? 誰もが手にできる、プロデューサーに必要な能力とは? – Business Journal(5月13日)

秋本センセーはいつもこのポーズですね。
『明日へ ー支えあおうー』 HPより)

ーー『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!

今回の番組:5月5日放送『秋元康 復興へのプロデュース論 ~7つのメッセージ~』(NHK)

「プロデュースとは自分を信じること」だと言う。

 なるほどな、と思うと同時に、そのことを深く理解するプロデューサーがどれだけいるのかと考えてみた。僕は映画作りをしているが、スタッフやキャスト、または監督である僕を信じてくれるプロデューサーの顔は浮かぶ。共犯関係が結べないと、収益も確実とは言えず、さらには長期間に渡る「映画」と関わることは難しい。互いの信頼関係は必至だ。僕は共同作業には人を信じることが必要だと思っていた。

 しかし、秋元康氏は「自分を信じる」と言う。

 さらに「プロデュースに正解はない」と。

 不思議な矛盾さえ感じる言葉だが、面白い。僕はここまで言い切るプロデューサーを知らない。東日本大震災の被害を受けた、宮城県女川町の商店街のプロデュースを手がけることになった秋元氏は、講演の中で「記憶に残る幕の内弁当はない」と断言した。それよりも「僕が何を創りたいか、みんなは何を創りたいか」だと。それくらい自分の意思がなければプロデュースなど不可能だ。ここまでで番組が始まってわずか10分弱だが、秋元氏が激しいバッシングを受ける理由がなんとなく分かった。

 現代はツッコミの時代だ。

 どんな事件や情報も受け手はネタにする。そして一方的な想いをぶつける。同調する人が集まればそれはある種の力をになる。盛り上がる。たくさんの人に届け、と願う発信者にとってもバンザイ、だ。でも、それでいいのか? あまりに消費が早すぎないか。ネットの連載でこんなのを書くのは野暮ってもんだが、情報を発する側にとっては相当厳しい時代と思う。今、表現をするということは、発信者も消費者もこのスピードと向き合うことでもあると思う。

 僕は2011年の3月11日、あの震災をきっかけに日本は変わるのではないか、と思っていた。電気の消えた暗い町と向き合い、これまで生活を見直す機会にしなければ、と。しかし予想よりも遥かに早いスピードで1000年に一度とまで言われた大地震も消費されてしまった。未だ収拾のつかない原発事故も同様の気配を感じる。こりゃ敵わない、と思った。(それまでもこんな気持ちは薄かったが)社会に期待しても仕方ない、これからは徹底的に主観で生きる、と決めた。故に秋元康氏の「自分を信じる」という言葉は今の僕には大きく響いた。

 東北に住む若者たちも同じだったのではないだろうか。「今、伝えたいことを1分程度の詩やメッセージにまとめる」というお題に対して彼らは自分たちなりの言葉で綴る。「何度失敗してもいいから 進むことをとめないで どんなつらいことが待っていても ここからはじまる」という言葉がボードに書かれた時、別の仲間が「このままではネガティブな印象がする」という指摘が入った。またある人は東京に近い東北をハンパであると認め、「あるものに感謝しよう」と言い切った。自分の心にあるものと向き合い、確信を持って発表する。それをAKBのメンバーが読み上げることで、個々の想いが広く伝わる「表現」へと変貌していた。

 この道筋こそがプロデュースなのだ、と思う。

 秋元氏は「復興とか難しい問題のゴールというか終着点は?」という若者からの問いに対し、「ゴールはない。延々続くことをやり続けなきゃいけない」と告げる。今、こうして文章に書き起こすと残酷な回答にも読める。しかし、放送ではこの会話はどこか清々しく、暖かみさえ感じるように見えた。皆、彼の言葉にうなずき、聞き入っているからだ。その空気感が伝わってくる映像だった。

「君がどこかの壁に花びらを書いたとする。誰かが続けて書く。それが150年続いたとして、誰かが『150年前に復興を願って書いたんだよ』と言う。それがまた続くんだ」「次の世代にバトンタッチして、それで完成するようなものを君たちは創らなきゃいけない」 今、未来を想像するとは、自分が想う程度の時間ではいけない。子どもの子どもの、その子どもが手にするものを考えなければいけないのだ。

 プロデューサーとはそこまでの想像力を持つ人間なのだ。そして、それは特別な力ではない。誰にでも持てる可能性はある。
(文=松江哲明/映画監督)

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最終更新:2013/05/14 07:00

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