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『ダウンタウンDX』名物チーフプロデューサーが登場!

「伝える力は、伝えたいという愛情に尽きる」生粋の“てれびバカ”西田二郎が語る、テレビの未来

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――「おかんおんぶ」はじんわりと泣ける映像なのに、どこか笑っちゃうのが不思議でした。

西田 どう考えたって、やってることはコント(笑)。おかしいんですよ。突然、実家に行っておかん呼び出して、昔の話しながら「おんぶさせてくれへん?」って。まずオモロい世界を作って、その中にホロリとさせる要素を入れるのが通常だとしたら、あれは基本泣かせにかかってる。やり方的に間違ってるんです。

 世の中って、なんでも正しいか間違ってるかで判断しがちなんですけど、僕はまず「愛情」ありきで、愛情があれば大いに間違っていいと思ってます。むしろ間違ったほうがいい。「本来だったらこう」っていうのを逸脱すればするほど、愛情の深さは伝わると思うんです。正しいか間違ってるかに終始して愛情がそっちのけになっているコンテンツがたくさん出てくると、人々は面白いとは言いづらくなりますよね。

――コンプライアンスの順守などでしょうか?

西田 そうですね。でもそれに限らず、「テレビは分かりやすくするべき」という考えに従っていった結果、まったく心に響かないものになってきているともいえる。逆に間違っていたって、伝わるときは伝わります。伝える力というのは、理論性や分かりやすさに答えがあるんじゃなくて、本当に伝えたいという愛情に尽きると僕は思ってるんですね。ただ当然視聴率の問題もありますから、そのバランスは保たなければならないですが。

――『ダウンタウンDX』は、そのバランスが絶妙だと思います。

西田 DXの「スターの私服」は、数字という面で番組にものすごく貢献してくれています。どうしてあのコーナーが数字を獲れるのかというのは、あとからなんとでも言える。だけど、あのコーナーの前まで、そんな企画は存在しなかったんですよ。たとえ思いついても、先ほどの正しい間違ってる理論にのっとると「ちょっと弱いんちゃうんか」とか理屈をつけられて、実現には結びつかないんです。でも、僕はどうしても見せたかった。ダウンタウンに見せたかったんです。ダウンタウンにスターの私服見せたら、さぞかし戸惑うやろなって。

――領域が違いますから。

西田 (想像できないから)面白くなるという予感があったんです。周りのスタッフは「ダウンタウンは(服に興味ないから)オモロいこと言わへんのちゃう?」「それより、まずあの2人はやれへんやんか」って心配してましたけど。拝み倒して、とにかく一回だけはやってもらいました。やっぱりあの2人すごいですから、面白くしてくれたわけですよ。でも終わった後「もう二度とせえへんからな、二郎!」って浜田さんに言われて。

――どう説得したんですか?

西田 プロデューサーのせいにしました。「勝田(P)が、テレビ人生をかけて“スターの私服”がやりたいらしいです!」と(笑)。「オマエ……ほんまアホやなあ」って言いながらもやってくれました。ダウンタウンは。

――『てれびバカ』の中でも「『ごっつ(ええ感じ)』や『ガキ(の使いやあらへんで)』と同じことをやっても仕方ない」と書かれていました。

西田 そうです。『ごっつ』に関しては、あの番組がゴールデンに行くときに、当時フジの社屋があった駅全面にポスターが貼ってあったんですね。それを見て「駅全部にポスター貼ってもらえるんや……」と全身の力が抜ける思いでした。ポスターだけでもスゴいのに、チャンネル合わせてこれから毎秒驚愕するなんて、僕の気が持たない。結局O.A.を見ることはできませんでした。まぁ、しんどかったですよ。僕ら世代で『ごっつ』見てないテレビマンなんていませんから。だけど、かえってそこを異質に感じてもらえたのはラッキーでした。だからDXは少々ダウンタウン的でないものも認めるべし、と思ってくれる番組になったと思います。

――ダウンタウンの番組がたくさんできていく中で、DXが長寿番組たり得たというのはまさにそういう理由でしょうか?

西田 まぁここに至るまでに紆余曲折もあって、僕自身がダウンタウンの番組を見ることを禁忌にしたわけですけど、ダウンタウンのことは理解しないといけない。そのために僕はどうしたかというと、「浜田さんになる日」「松本さんになる日」を決めて、その日はひたすらツッコミを入れたりボケ倒したりするんです。もちろん全部ドンピシャにできるわけはないんですけど、せめて「これ言うんちゃうかな」っていうポイントくらいはつかめるようになる。ダウンタウンというフレームが身についたと信じられたんです。これがあればどんな企画を立てる上でも(ダウンタウンが)気色悪いことにはならないという確信が持てたんです、まぁ、自分の思い込みですけど。中身じゃなくて、枠。メロディじゃなくて、リズム。

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