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2013年実録犯罪映画特集

英会話講師殺害事件、茨城上申書殺人事件……“実録犯罪映画”が続々公開される、その舞台裏は?

IamICHIHASH01.jpg市橋達也の手記の映画化『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』。台湾など海外で活躍するディーン・フジオカの主演・監督作となっている。

 ベストセラー小説や人気コミックの実写化、ファンタジックなアニメーション作品が主流を占めるようになった現代の日本映画界において、異彩を放っているのが“実録犯罪もの”と呼ばれる生々しいジャンルだ。“愛犬家殺人事件”を題材にした園子温監督の『冷たい熱帯魚』(11)が皮切りとなり、同じく園監督が“東電OL殺人事件”に着想を得た『恋の罪』(同)もスマッシュヒット。2013年には“秋葉原無差別殺傷事件”を扱った『ぼっちゃん』、東海テレビが製作した『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』など実在の凶悪事件をテーマにした作品が相次いで劇場公開されている。不動産ブローカーが保険金目当てで高齢者を死に追い込んだ“茨城上申書殺人事件”の真相に迫った『凶悪』は9月21日に公開され、現在もロングランヒット中だ。さらに11月9日(土)からは“英会話講師殺害事件”を起こした市橋達也の手記を原作にした『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』が全国公開(11月6日よりネット配信開始)、新宿ケイズシネマでは“大阪2児餓死事件”を描いた密室劇『子宮に沈める』が封切られる。

 「被害者遺族の心情を逆なでする」「犯罪者を英雄視するのか」などの非難が度々起きる実録犯罪ものだが、一部の批判を浴びながらも次々と製作されているのはなぜだろうか。この疑問に答えてくれたのは、セディックインターナショナル代表取締役の中沢敏明氏だ。アカデミー賞外国語映画賞を受賞した大ヒット『おくりびと』(08)のプロデューサーであり、阪本順治監督と組んだ“松山ホステス殺害事件”のドラマ化『顔』(00)やタイでの“幼児売買”の実態を描いた『闇の子供たち』(08)も手掛けている。『I am ICHIHASHI』を企画・製作した経緯をこう語った。

IamICHIHASH02.jpg警察から逃げ続ける市橋(ディーン・フジオカ)は生活費が底を尽き、建築現場で働き始める。市橋にとって、すべてが初めての体験だった。

中沢 「凶悪犯罪なら、なんでも映画になるというわけではありません。僕自身がノンフィクションものが好きで、『I am ICHIHASHI』の原作となる『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記憶』を読んだんです。英会話講師を殺害した後、彼はどのような心理状態で逃げ続け、整形手術を受けたのか興味があったのですが、読んでいて唯一共感できたのが、主人公が逃亡資金を稼ぐために日雇い労働をする部分でした。裕福な家庭で育ったためにアルバイトの経験すらなかった彼は、初めての肉体労働で、働くことの楽しさを覚えたわけです。そのことをもっと早く知っていれば、あんな事件は起きなかったかもしれない。僕は仕事で海外に行くことが多く、最近よく感じるのは、今の日本はとても特殊な社会だということなんです。不況だと言いつつも、若者が働かずとも生活できている。多分、世界中でそんな国は日本だけでしょう。『I am ICHIHASHI』を映画化することで、少しでも若い人たちが“市橋は、なんであんな事件を起こしちゃったんだろう”と考えるきっかけになればと思っているんです」

 中沢氏によると、『逮捕されるまで』の出版元である幻冬舎に映画化を申し込み、当時拘置所にいた市橋達也にも弁護士を通して映画化の許可を得たそうだ。

中沢 「今回の映画は、犯罪を唱道したり、犯罪者を美化したりする意図で制作したものではありません。被害者・ご遺族の名誉やプライバシーを毀損するおそれのある表現を避けることはもちろんのこと、被害者遺族の感情を十分に配慮する必要がありました。被害者となった英国人講師は描かず、事件を起こした逃亡者の目線に立った主観映像によるドラマにしたんです」

 主演のディーン・フジオカは台湾などアジア各国で活躍する俳優であり、ミュージシャンでもある。『I am ICHIHASHI』で初監督に抜擢されたが、製作の舞台裏で監督交代劇があったことを中沢氏は明かした。

中沢 「実を言うと、崔洋一監督に最初はお願いしていたんです。崔監督も低予算映画であることを了承し、原作にとても興味を示してくれました。崔監督が映画を完成させていたら、大変な話題作になっていたでしょうし、映画として評価の高い作品になっていたはずです。しかし、弁護士とも入念に話し合い、今回は被害者遺族への配慮が必要であり、事件の全容を客観的に描こうと考えていた崔監督には申し訳なかったのですが、理由を説明して、ディーン・フジオカにバトンタッチしてもらったんです。崔監督も納得済みで、決してゴタゴタではありません。ディーン・フジオカは日本人ながら海外での活動を中心にしていることから今の日本に対して独自の視点を持ち、また主人公に実年齢が近いということもあり、初めての監督業にとても意欲を見せてくれました」


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