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スカーレット・ヨハンソンが異色SF映画で初ヌード!『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

undertheskin.jpg『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(c)Seventh Kingdom Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014/配給: ファインフィルムズ

 今週取り上げる最新映画は、スカーレット・ヨハンソンとマイケル・ファスベンダー、大人気スターがそれぞれ新境地を見せる英国発の2作品。ハリウッド製娯楽大作への出演とはまた違った魅力を放つ、2人の演技に要注目だ(いずれも10月4日公開)。


 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(R15+指定)は、スカーレット・ヨハンソンが地球の男たちを誘惑する妖艶なエイリアンを演じ、初のフルヌードも大きな話題のSFスリラー。セクシーな黒髪美女の外見に正体を隠した地球外生命体が、スコットランドの街で男たちを誘惑し、次々に捕食していく。だが、顔に障害を持つ孤独な男との出会ったことで、彼女に変化が訪れる。

 監督は、『記憶の棘』(2004年)のジョナサン・グレイザー。「捕食」のシーンはシュールな映像で、SF的というよりはアート作品のよう。ストリングス系のシンセBGMが緊迫感をあおる。過去にもたびたびセクシーな役を演じてきたスカヨハが、初ヌードを披露する場として、小品の味わいのある異色SFを選んだことは意外な気も。ステレオタイプなキャスティングから「脱皮」したいという、願望のメタファーと読めなくもない。万人向けではないが、クセのある作品世界を楽しめる方にオススメしたい。

 『FRANK フランク』は、イギリスでカルト的人気を誇った音楽コメディアン、故フランク・サイドボトムをモデルに、マイケル・ファスベンダーが終始かぶり物を脱がない男を演じたコミカルなドラマ。プロミュージシャンを夢見る青年ジョンは、ひょんなきっかけからインディーバンドに参加する。フロントマンのフランクは、巨大な張りぼてのマスクを常にかぶっていて、ステージ上はもちろん、普段の生活でも決して素顔を見せない謎めいた男だった。バンドがアイルランドで新作アルバムをレコーディングしている頃、ジョンがアップした演奏動画が反響を呼び、アメリカの音楽フェスに招かれることに。だが、これをきっかけにフランクが変調をきたし、バンド内の不協和音が高まっていく。

 イギリス・アイルランド合作で、監督はアイルランド出身のレニー・アブラハムソン。ファスベンダーがハンサムな顔を「封印」し、ほぼ全編でマスクをつけて繊細に演じた。終盤の展開は、凡人には越えられない何かを見せつけられるようで、切なさも残る。オルタナ、アヴァンギャルド系バンドの物語は、音楽好きならストーリーとサウンドトラックで2倍楽しめるはず。『ザ・コミットメンツ』(91年)や『ONCE ダブリンの街角で』(06年)に連なる、音楽の素晴らしさと人生の哀しさを歌い上げる傑作がまた1つ誕生した。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』作品情報
<http://eiga.com/movie/57779/>

『FRANK フランク』作品情報
<http://eiga.com/movie/80487/>

最終更新:2014/10/03 21:00
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