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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.295

あの“アホの坂田”師匠が和製イーストウッドに!? 安藤サクラ主演作『0.5ミリ』で光り輝く名優たち

05mm03.jpg“日本映画の父”牧野省三を祖父に持つ津川雅彦が後半に登場。安藤姉妹は撮影を通して日本の映画史を、そして近代史を貪欲に取り込む。

 父親が俳優の奥田瑛二、母親がタレント兼エッセイストの安藤和津という芸能一家に生まれ育った安藤桃子&サクラ姉妹。両親が家にいないことが多く、少女時代の姉妹の面倒を看ていたのは母方の祖母だったそうだ。愛する祖母が晩年に病気を患い、そのときの在宅介護の体験が本作のベースとなっている。今は亡き祖母への想いを形にするべく、安藤姉妹はタッグを組み、さらに奥田瑛二がエグゼクティブプロデューサー、安藤和津がフードスタイリストとして参加。映画の後半では安藤姉妹と幼い頃から交流のあった津川雅彦、また俳優の柄本佑と結婚した安藤サクラにとっては義父・義母となる柄本明と角替和枝がそれぞれ重要な役どころで登場する。疑似家族ものを実際の家族・親族らで撮り上げるという、『0.5ミリ』は相当ユニークな作品だ。妹・サクラに続いて桃子監督も結婚を決め、映画製作を通して“家族”とは何であるのかを確かめたかったに違いない。

 家族とは、本当に面倒くさくて、超うざったい存在だ。ほとんどの家族は言うべきことを口にせず、言わなくていいことを口にする。くだらないことで、すぐにケンカになる。でも多分、そんな面倒くささ、うざったさ、くだらなさの中に、ひどく大事なものが隠されているらしい。さすらいのヘルパー・サワはアウトサイダーゆえに、その隠されているものの大事さに気づいている。面倒くさく、うざったく、くだらないものが複雑にこんがらがったものを丁寧に解いていく。そして旅を続けることでサワは、それまで出会った人たちをひとつの“拡大家族”へと繋げていく。とてもカラフルなパッチワークのように。サワが行く先々には、これからも血縁や地縁に縛られない、新しい大きな家族が誕生していくはずだ。
(文=長野辰次)

05mm04.jpg

『0.5ミリ』
原作・脚本・監督/安藤桃子 出演/安藤サクラ、織本順吉、木内みどり、土屋希望、井上竜夫、東出昌大、ベンガル、角替和枝、浅田美代子、坂田利夫、柄本明、草笛光子、津川雅彦 
配給/彩プロ 11月8日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー。高知市では高知城西公園内『0.5ミリ』特設劇場にて先行上映中。
(c)2013 ZERO PICTURES/REALPRODUCTS
http://www.05mm.ayapro.ne.jp

最終更新:2014/11/06 21:00
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