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「セメント埋葬殺人事件」で明らかになった、韓国“デートDV”の深刻度

459214353_da171b7818_z.jpgイメージ画像 Photo By hojusaram from Flickr.

 衝撃的な殺人事件が、韓国で波紋を呼んでいる。釜山の海雲台警察署は5月19日、交際していた女性を殺害した後、遺体を忠清北道の野山にセメントをかけて埋めたとして自首してきた26歳の男性Aを逮捕したと発表した。警察発表によると、犠牲になった女性はニューヨークの名門大学卒業後、釜山で英会話講師に。その時の受講生だったAと交際を始め、今年からソウル市内で同居していたが、定職を持たないAからDVを受け続けていた。そんな中、4月2日に女性から別れ話を持ちかけられたことに腹を立てたAは、逆上して彼女の首を絞め、殺害したという。しかも、Aは1週間近く被害者になりすまし、彼女の両親にスマートフォンで50回以上もショートメールを送り続け、無事であるかのように偽装。ただ、良心の呵責に苦しみ、自殺を試みるも失敗し、自首するに至ったという。

 付き合っていた彼女にDVを続け、離縁を迫られたことを理由に殺害した上にセメントで埋めて、さらに1週間以上も被害者になりすましていたという衝撃度から、この事件は 「セメント埋葬殺人事件」と呼ばれ、その犯罪の根底には韓国社会の闇があると分析する識者も多い。経済的に苦しい立場にある男性が必要以上に恋人に依存し、暴力を振るう“不況型デートDV(恋人間暴力)の典型”ともされているのだ。

 そもそも韓国では、1998年頃からデートDVが増加傾向にあった。25日に韓国警察庁が発表したところによると、恋人間暴力事件は94~97年までは年間3,000~4,000件水準だったが、金融危機で韓国が一時的にIMF(国際通貨基金)の管理下に入った98年には5,097年に増加し、2000年には8,131件に。以降毎年増え続け、09年には1万9件に。ここ数年間は8,000~1万件水準にあり、13年は1万1,977件もあったとされている。

 また、恋人間の殺人事件も増えており、家庭内暴力や性暴力に苦しむ女性の相談窓口である「韓国女性の電話」の調査によると、14年に恋人男性に殺された女性は114名、殺人未遂被害に遭った女性は95名もいたという。

 こうした状況を韓国の専門家たちは、「男性たちが失業や事業失敗などの経済的苦境に立たされたことで心理的に安定せず、そのストレスが恋人への暴力に発展している部分も否定できない」とし、「経済的にも恋人に依存せざる得なくなった男性は、別れ話を持ち出されると憤怒し、その暴力がさらにエスカレートする。今回の事件は、究極にして最悪のケース」と分析しているのだ。

 さらに問題なのは、この“デートDV”が、今後もさらに増加していく可能性が高いということだ。成均館大学で経済学を教える、とある教授も、「デートDVを減少させるためには、人々が体感できるくらい景気が良くなくなければならないが、現在の韓国経済の状況を見る限り、その可能性はかなり低い。むしろ失業や家計負債などで景気はさらに悪くなりそうなので、独占欲が強く、恋人を自らの所有物としがちな韓国男性たちの心理が、デートDVに発展してしまう“引き金”となる恐れもある」と、警鐘を鳴らしているほどだ。

 「セメント埋葬殺人事件」で明らかになった、韓国の深刻なデートDV。今後も予断を許さない状況のようだ。

最終更新:2016/01/28 16:35
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