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構成作家・相沢直の“スナオなドラマ考”

『ど根性ガエル』原作モノの連続ドラマが、第1話で描くべきこととは

dokonjogaeru.jpg『ど根性ガエル』日本テレビ

今クールのドラマの中から、注目の作品を1本ピックアップし、毎週追っていく新コーナー。

 言うまでもないことだが、テレビドラマには2種類ある。すでに小説やマンガなどで原作が存在しているものと、そうではないオリジナル作品だ。昨今のテレビドラマでは前者が優勢であり、2015年7月クール作品でも『花咲舞が黙ってない』『デスノート』『婚活刑事』(日本テレビ系)や『エイジハラスメント』(テレビ朝日系)などなど、原作のドラマ化作品は数多い。

 そして、日本テレビの土曜夜9時枠でスタートした『ど根性ガエル』もその一つだ。オリジナル作品ではなく、原作をドラマ化するメリットはいくつか存在する。すでに作品としての面白さがある程度保証されていることや、それゆえに企画が通りやすいということ、あるいは放送前からの話題性というメリットも大きいだろう。だがその分、デメリットもあり、特に原作のファンが多い場合は、そのドラマの内容次第では多くの否定的意見が寄せられることになる。

 それでは、本作『ど根性ガエル』はテレビドラマ化に当たって、原作をうまく料理することに成功しているのかどうか? 結論からいえば、完全に成功している。プロデューサーの河野英裕と脚本家の岡田恵和は、2013年の『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ系)でファンタジーの世界から人間ドラマを描いた名コンビ。さらに、主演の松山ケンイチとは09年の『銭ゲバ』(同)で、1970年に描かれたジョージ秋山作品を見事に現代ドラマへと昇華させた。そして『ど根性ガエル』はこの系譜にありながら、さらにドラマとしての進化を遂げた作品になるだろう。

 その理由は、7月11日に放送された第1話ですでに明らかになっている。そもそも、原作モノの連続ドラマがその第1話で描くべきことは何か? 最も重要なのは、以下の2点だといえる。

(1)原作のどの部分をドラマの根底に置くのか?
(2)原作をドラマ化するに当たって変化している点はどこか?

 原作をドラマ化するということは、当然ジャンルを越えることになる。小説やマンガで描かれたことをそのまま実写のドラマにするというのは不可能であるし、またそれではドラマにする意味がない。原作がいかに面白いものだったとしても、テレビドラマならではのプラスαがなければ、わざわざドラマにしなくてもいいのだから。

 そこで必要となるのが、上記の(1)と(2)だ。これは第1話から最終話まで通底するものではあるが、第1話においてそれが視聴者に示される必要がある。それが示されることによって、視聴者は次回へ、あるいは最終話へ向けて、見たいという欲望をかき立てられるのだ。

 『ど根性ガエル』では、第1話の冒頭で(1)が示される。橋の上で釣りをしている主人公・ひろし(松山ケンイチ)。原作とは違って、すでに30歳である。そこで、風にあおられた子どもの帽子が川に落ちてしまう。ピョン吉(満島ひかり)の勝手な行動により、川の中に飛び込むことになるひろしは、溺れながらも帽子を手に取り、子どもに返してあげるのだった。

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