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義兄に頼んで自力で人工授精…レズビアンカップルの“妊活”奮闘記が描く社会の壁と家族の意味 

 さらに2回目、3回目の人工授精も受胎せず、病院での人工授精も視野に入れる。同書によると日本でも〈婦人科で人工授精を受けているレズビアンカップルもいる〉というが、やはり気になるのは価格。

 卵管が通っているか調べる費用で4千円、排卵日検査で3千円、人工授精で2万5千円程度と、1回の値段としてみればそこまで高価ではないものの、何度もチャレンジするのを見越すと、二の足を踏んでしまう額だ。

 結局、引き続き姉夫婦に頼ることになるふたりだが……。その続きは同書でぜひ確認してもらいたい。

 同性婚の不妊治療ですら様々な苦しみ、重圧、風当たりがあるのにもかかわらず、さらにセクシャルマイノリティである彼女たちの妊活は、想像を絶する苦難の連続だったに違いない。
 
 こうした背景には、同性カップルが「家族になること」「子どもを作ること」を、異性婚よりさらに意識して考えなければならないという事情がある。

 藤間氏も、〈同性愛カップルの「恋人同士」な関係が「ファミリー」になっていく、より深い関係へと移行していくのは、ふたりの人生設計を考えるのにも大切です。でも一方で、子作りしたレズビアンカップルでも、離縁してしまうことがあります〉など、妊活を機にはじめて人生設計を考えるようになったという。

 さらに妊活とはズレるが、ふたりの妊活中に親しいレズビアンカップルのひとりが亡くなったことも、藤間氏と牡丹氏に強い影響を与えた。

 病院で亡くなる直前、一刻を争うときに終始付き添っていた恋人は手術同意書にサイン出来ず、亡くなった直後に立ち会える〈ご家族の方〉にも該当しないという厳しい現実に、ふたりは愕然とするしかなかった。

 “家族”が増えることにも、そして“家族”が去るときにも、同性愛カップルは立ち止まり、異性婚のカップルにはない壁を超えなければならないのだ。

 今回藤間氏が赤裸々に体験を語ったことで、今後よりいっそう、同性愛が市民権を得るきっかけになることを願いたい。
(羽屋川ふみ)

最終更新:2015/09/10 13:00
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