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東京五輪で風俗店が一掃される? 新人風俗嬢「接客講習」の掟とは? ベテランライターが風俗業界の噂を検証

 しかし、そんな彼女たちもいつかは夜の街を卒業する時が来る。そんな折、転職活動にあたっての履歴書にはその期間のことをどう記載するのか? もちろん、職業に貴賤はないが、当該女性の立場に立ってみれば、できることなら次の職場に風俗で働いていた過去を伏せたいと考える人も多いだろう。

 風俗店のなかには、そのためのアリバイ工作手段を準備している店が存在する。これらは引退後の転職活動のみならず、風俗嬢として働いている最中なかなか通りにくい不動産審査や保育園の入園審査などにも大きな効力を発揮してくれるのだという。その仕組みは以下のようなものだ。

〈勤めている風俗店の経営母体が株式会社などの法人で、風俗店と同時に飲食店や一般的な職種の事務所も経営しているようなケースでは、女の子がそちらの仕事に従事しているということにして、給与や在籍の証明書を作成したりする他、クレジットカード作成のための在籍確認の電話などにも対応してくれることがある。これを女の子のアリバイ工作という。
 また、アリバイ会社というものも存在し、こうした会社は、女の子のアリバイ工作を専門的に行っている〉

 これらアリバイ作業を行ってくれる組織は風俗嬢にとって強い味方となる。吉岡氏が取材した元ソープ嬢はこう語る。

「私は大学を卒業してから就職活動をせず、アルバイトでやっていたソープ嬢をそのまま続けていたんです。でも、2年経ってソープ嬢を引退して一般の会社に就職しようとしたとき、ソープ嬢だった2年間がそのまま履歴書の空白になってしまったんです。だって、風俗やってたなんて履歴書に書けるわけないじゃないですか。でも私は、アリバイ会社と契約していたから、空白期間のところにその会社の名前を書くことで、履歴書を埋めることができたんです。おかげで無事に就職することができました」

 これらの会社が行う業務は一部に文書偽造など違法行為も含まれているためアリバイ会社が摘発される例も時折報道されているが、一度引退したものの履歴書の空白期間のせいで再就職できず結局また夜の世界に戻ってしまったり、現在風俗の仕事をしているせいで家が借りられないといった例が後を絶たない彼女たちを救ってくれるのもまた、こういったアリバイ会社なのだという。

 冒頭にも記した通り、夜の世界は、行政や社会状況の変化により激変を余儀なくされることも殊更に多い世界だ。最近でも、「マイナンバー制度導入により、一般企業のOLと風俗嬢をダブルワークしている人が、昼の職場に兼業がバレるかもしれない」というトピックがネットニュースや週刊誌などを賑わせている。2020年の風俗業界はどうなっているか? それは、神のみぞ知るといったところなのである。
(田中 教)

最終更新:2015/10/18 13:00
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