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「俺は身勝手な男だった」【元ZOO・CAP】が語った覚せい剤逮捕後の本心、そして懺悔

――CAPさんはZOOの活動で一躍トップ・アーティストの座に就き、一世を風靡しました。アーティストとして大きな成功を収めたにもかかわらず、なぜ解散後は芸能界に執着せず、あえて裏方の仕事を選択したのでしょうか?

「アーティスト時代に全国をツアーで回った際、各地のクラブのオーナーやDJ、ダンサー、現場を支えるあらゆる人たちと出会ったことや、俺自身、テレビよりリアルなストリート・カルチャーに戻りたいという気持ちが強かったからだね。俺にとってZOOっていうグループは、あくまで後づけなんだよ。もともとクラブのような遊び場が好きな現場の叩き上げだったし、テレビは出演したら『楽しいな』と思う程度だった。当時、街のゴロツキ兄ちゃんみたいな集団がオリコン1位を獲ってしまったもんだから、世間的にも新鮮に映ったんだろうね」

――多くの関係者が久方ぶりにCAPさんの名前を目にしたのは、覚せい剤で逮捕という残念なニュースとなりました。テレビ各局やスポーツ紙はこぞって「常習的に薬物を使用していた」と報道していましたが、そこに違和感を覚え、今回の取材をオファーしたわけですが、そもそもどうして薬物に手を出してしまったのでしょう。

「“セックス・ドラッグ・ロックンロール”という生き方があるじゃない? 人とは違う生き方、前例のない形で世の中に出て認められたい。そういう憧れがあって、ノリで使用してしまった。仕事上、交友関係も広かったし、悪い友達も少なくなかったからね。それと、07年前後だったかな、当時一番の親友だった人間と諍いを起こしちゃって、酒に溺れて荒れてしまったことも原因だったと思う。でも、報道にあったように常習的に使用していたわけではない。ただ、今回の逮捕で多くの方々を裏切ることになってしまい、本当に申し訳ないと思ってます」

――今回逮捕に至った背景は、覚せい剤の売人が先に逮捕され、そのリストにCAPさんの名前があったと聞いています。なぜ、CAPさんが元ZOOのメンバーだと発覚し、そもそも逮捕は『MUSIC DAY』出演前に決定していたのに放送後の逮捕となったのですか?

「俺がZOOのメンバーだったということは、警視庁の担当が本名で検索をかけたら、フェイスブックにたどり着いて経歴を知ったことから。その時から半年間かけて(警視庁組織犯罪対策)5課が6人体制でマークしてたということを、あとから担当刑事に聞いてね。逮捕がZOO再結成ライブの放送後になったのは、俺が逮捕される直前に、元C-C-Bのメンバー(田口智治氏)が神奈川県警に逮捕されたことが要因だったみたいで。警視庁にとって俺の逮捕は、偶然のタイミングとはいえ、神奈川県警に対する対抗意識だったんだろうね。それと、俺が番組出演後に逮捕されることを知っていた関係者も少なからずいたみたいで、警視庁も『坂井をテレビに出演させてから逮捕したほうが、より大きなプロモーションになる』と思っていたみたい。

 逮捕の瞬間は頭の中が真っ白になったよ。自宅のドアロックをペンチで切られ、15人前後の警官が入ってきて、『逮捕する』って担当刑事が仁王立ちになってね。まるで映画のワンシーンのようだった。一気に奈落の底に突き落とされた感覚だったけど、それ以上に、取り返しのつかないことをしてしまったなって」

――再結成ライブ直後ということもあり、メディアは連日のように逮捕に関するニュースを報道し、ネットでは「MUSIC DAY」において司会者の進行をさえぎり発言したシーンが「薬物による異常な行動」として動画も出回りました。

「さえぎって発言したことに薬物はまったく関係ないんだ。再結成ライブが決定して、当時の関係者から提案してもらった助言も考慮して、あらかじめ言おうと決めていたことだった。言い訳をするつもりじゃないけど、報道やネットニュースはそういう行動を取って付けたように“不可解”と言いたかったんだろうね。さまざまな事情もあって一緒に出演できないメンバーがいたから、『一番前のめりなやつらが何人かいないんで、また次回一緒に踊ろうよ』と、わかる人にはわかってもらえるように伝えたまでだよ。

 放送終了後、当時のファンの方たちからフェイスブックに『ZOOは私の青春です。再結成ライブうれしかったです!』といったあたたかいメールが1000件以上届いたんだ。とってもうれしかったし、涙が出た。でも、その数日後に逮捕され、関係者だけでなく、そんなファンのみなさんに対しても最低な返答をしてしまった。留置所に入って、本当に無分別なことをしてしまったと深く反省し、今度は悔し涙が出てきたよ」

――昨年10月、東京地裁から判決が出ましたが、現在は生まれ育った実家に身を置き、ウェブクリエイターの学校に通っているそうですね。

「30年ぶりに実家へ戻って両親と暮らしてるんだ。厳格な父親だから、こっぴどく叱られてさ、大好きなタバコも酒も女も禁止されてる。今は執行猶予中の身だけど、また音楽の仕事に復帰したいと思ってるから、ウェブクリエイターの学校に通ってるんだ。両親共に年金生活だから迷惑もかけられないし、普通に仕事しなくちゃいけないわけだけど、近所のスーパーとか、いくつか求人に応募したんだよ。でも、すべて不採用。昨今、罪を犯せばネットに名前はいくらでも出ちゃうからさ、履歴書の名前で検索されたんだろうね。そういった社会的制裁を受けながら、地道にがんばってるよ」

1602_cap_03.jpgCAPを支える幼なじみの店主夫妻が営む居酒屋にて。取材前の打ち合わせでは、通っている学校のテストでの高得点を夫妻に笑顔で報告していた。

――今回の取材は、幼なじみの同級生が営む居酒屋で行わせてもらっていますが、社会的制裁を受ける一方で、支援してくれる仲間も身近にいるわけですよね。

「見捨てられて当然の罪を犯しながらも、ZOO時代の仲間、お世話になった先輩、面倒を見てきた後輩……決して数は多くないけど、『おかえり』『お前は何やってんだ』とか叱咤激励の言葉をかけてくれる人たちがいた。出所後はちょっと鬱っぽくなってたこともあったから、素直にうれしかった。もちろん、呆れてなんの連絡もくれない友達もいたけどさ、そこは真摯に受け止めてる。なにより、何十年も離れて暮らしていた両親が俺を受け入れてくれたことや、地元の同級生、特にこの居酒屋の大将に至っては、『出世払いで構わないから、メシ食べていきなよ』と気遣ってくれたり、そのほかの同級生も同窓会に呼んでくれたり。生まれ育った土地に心から感謝してます」

――今回の逮捕で失うものはたくさんあったと思いますが、得たものも大きかったのではないでしょうか。仲間に対し、改めて伝えたいことはありますか?

「俺が信頼する仲間は、不良も多いけど、夢に向かってまっすぐで、それを実現させるためには、自分を犠牲にしてしまうくらいの連中ばかり。自分が生きてきた世界は、一般的に見たら無価値のアンダーグラウンドな世界だったかもしれないけど、俺はそこでプライドを捨ててまで、自分らしさを失いたくはなかった。そんな意義ある人生を送れてきたのに、なぜ薬物なんかに頼ってしまったんだろうという後悔の気持ちにばかり襲われる。事業が軌道に乗り、あちこちで偉そうな顔をしてきて、自分を失いたくないと思う一方で、もっと大切な何かを失っていたことに気づかされたよ。

 こんな俺だけど、できることなら、また人のために汗水流して働きたいし、誰かの役に立ちたいと思ってます」

 取材終了後、居酒屋の大将は、CAP氏にねぎらいの意味を込めてウーロン茶を差し出し、大将の奥さんは「焼酎を入れたら、お父さんに怒られるよね?」と笑顔で問いかけた。しかし、彼は真面目な表情を変えず、「クラブ・カルチャーは今でも大好きなんだ。風営法が改正に向けて順調に進む中、こうした事件を起こしてしまったことを本当に反省してる。クラブ=ドラッグの温床と、短絡的に結びつけることだけは避けてほしいです」と続ける。そして彼は、大将にお礼を述べた。その表情は、これまでに仕事で見てきた眉間にしわを寄せるような硬い表情ではなく、今までに見たことのないやわらかい表情だった。

 だが、華やかな世界から、奈落の底に落ちた彼に待ち構える障壁は、高く険しい。今、彼は共に時代を築いてきた仲間、支援してくれる仲間を想いながら、新たな一歩を踏み出している。

(文/佐藤公郎)

CAP(きゃっぷ)
1969年、東京都生まれ。「Choo Choo TRAIN」や「YA-YA-YA」などのヒット曲を連発し、一世を風靡した元祖ダンス&ボーカル・ユニット・ZOOのメンバーとして活躍。解散後はDJやダンサーとしての活動や、自らが取締役を務めるマネジメントやレコードレーベルなどを手がける。15年7月、麻薬特例法違反の疑いで逮捕。同年10月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決が言い渡された。

最終更新:2016/01/30 13:45
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