日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > NHK『バリバラ』の挑戦
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第135回

感動は障害者を救えない? NHK『バリバラ』の挑戦

 テレビは障害者を感動的に描いてきた。それは『24時間テレビ』に限らず、『バリバラ』を放送しているNHKも例外ではない。

 番組では、その歴史をNHKのアーカイブから紹介。1950年代、障害者は「不幸でかわいそうな存在」として描かれていたという。そして81年の「国際障害者年」には、数多くの関連番組を制作。障害者の社会参加が謳われ、けなげで頑張る障害者のイメージが作られていった。その結果、生まれたのが「感動ポルノ」だ。

 それでは、具体的に「感動ポルノ」とはどんな番組だろうか?

『バリバラ』では、元柔道五輪代表候補で多発性硬化症の大橋グレースを主人公に「感動ドキュメンタリー『難病なんかに負けない!~これが私の生きる道~』」と題した「感動ポルノ」のパロディを制作。

 ストーリーは、「大変な日常」「過去の栄光」「悲劇」「 仲間の支え」「いつでもポジティブ」という5つの“感動へのステップ”に沿って描かれる。

 その間、たとえば、グレースは口からご飯を食べることができないため、胃に開けた穴にパイプを差し込み直接栄養を摂っているのだが、そこで「大変ですね」と問うスタッフに対し、グレースは表情も変えず「いや、意外と食べる手間も作る手間も省けるので、そんなことはないですけどね」と返答。だが、スタッフは「いや、そこは大変な感じでいきましょう」などとたたみかけるが、感動ポルノではグレースのこういったコメントは「放送されない部分」だと、テロップ解説が入る。

 イギリスでは、こうした障害者を一面的に描く番組に対して抗議運動が始まり、90年代後半に公共放送BBCは「障害者を“勇敢なヒーロー”や“憐れむべき犠牲者”として描くことは侮辱につながる」とするガイドラインを定めたという。

 司会の山本シュウは言う。

「誤解してほしくないのは、感動は悪くないんですよ。感動の種類をちゃんとわかってないと怖い」
「一番怖いのは無意識」

 ちなみにグレースは、本家『24時間テレビ』にも出演。やはり前述の「感動へのステップ」をなぞるような「死も考える、苦しみ抜いた過去があった」といった感動調のVTRではあったが、ほかの多くのVTRとは一味違っていた。

『世界の果てまでイッテQ!』などで体を張っている森三中・大島が好きという彼女は、同じく『イッテQ!』に出演するNEWSの手越祐也と3人でパンスト相撲に興じ、「水かつらアート」「スローモーションアート」といった、番組名物企画に挑戦。笑いのあふれるものだった。

123
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真