日刊サイゾー トップ > その他  > じゃんけん大会に見る競争型アイドルイベントの功罪

「AKB48じゃんけん大会」田名部生来の優勝に見る“競わされるアイドルたち”の「矛盾した胸の内」

■競争型アイドルイベントの功罪

 2014年の「じゃんけん大会」へは取材に行った。

「じゃんけん大会」は衣装が統一されておらず、メンバー本人が自己プロデュースできるようになっている。同じ衣装を着て一斉に歌って踊っているライブの時とは、まったく異なる印象を受けた。自由になったメンバーは、男性受けからかけ離れた衣装(優勝した田名部さんも、ネクタイを頭に巻いた酔いどれサラリーマンの格好をしていた)や、反対に可愛いアイテムを追加しすぎてごちゃっとした雰囲気になっている子もいた。女の子達が自分の思うように戦う姿は、今まで自分が見てきた地下アイドル達と酷似していて驚いた。

 地下アイドルもまた、よく競わされる。投票制のライブや、番組の企画や、公開オーディションなんかで。集客やグッズの売上で順位を付ける企画はお金が動く上に、地下アイドル達が勝つためにインターネットでファンに呼びかけるので、イベントや番組側にとってはお金のかからない宣伝にもなる。きちんとした企画もあれば、そういうことを主な目的としたイベントも多い。

 それでも、少しでも知名度が上がれば、何かに繋がればと思う地下アイドルは後を絶たない。

 かくいう私も、活動を始めた当初は3つの投票制ライブに出演していた。どれも集客や売上とは関係なく純粋な投票イベントだったので、地下アイドル同士も穏やかな雰囲気だったけれど、勝てない時は悲しかったし、ずっと勝てない人としてポジションを築いて人気になっていく子もいて非常に勉強になった。人それぞれ自分に合った戦い方があるのだ。歌や踊りよりもずっと、ファンの人の目をみることや、声援に応えることが大事なこともわかった。いまでも最初に経験しておいて良かったと思っている。

 競争型のイベントにはいろんな女の子がいる。1位になれないことに心折れて脱落してしまう子もいれば、あらゆるイベントに出場しては勝ち続けている子もいる。しかし、前者の子がほかの場所で高く評価されることもあれば、後者の子は努力する目標が常に目の前にないと不安なので小さなイベントに延々出続けているだけということもある。何をしたらほかの子たちから頭ひとつ抜けられるのかわからない世界にいるのだから、気持ちは痛いほどわかる。私たちはこうして、このへんてこな世界で戦っている。

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