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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.410

日活ロマンポルノは現代社会にどう蘇ったのか? 園子温が撮った極彩色の悪夢世界『アンチポルノ』

日活ロマンポルノは現代社会にどう蘇ったのか? 園子温が撮った極彩色の悪夢世界『アンチポルノ』の画像1『アンチポルノ』で初ヌードに挑んだ冨手麻妙。「園子温監督作品に主演するのが目標だった」と堂々とした脱ぎっぷりを見せている。

『愛のむきだし』(09)でのブレーク以降、日本で最も忙しい映画監督となった園子温監督。2017年も正月から『新宿スワンII』(1月21日公開)と「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の1本『アンチポルノ』(1月28日公開)が同時期に劇場公開される。相変わらずの売れっ子ぶりだが、どうやら我々が知っている園子温監督は2人存在するらしい。ひとりは『冷たい熱帯魚』(11)など従来の日本映画の枠組みをブチ壊す野心作を放つ♂園子温であり、もうひとりは現代社会の歪みを繊細に受け止めた『恋の罪』(11)や『ひそひそ星』(16)などのアート系の作品を得意とする♀園子温である。園子温はふたりいる、そう考えると園監督の多彩すぎるフィルモグラフィーはすっきりする。前作のヒットを受けて製作された『新宿スワンII』はさしずめアクション満載の男の子映画であり、初期の秀作『桂子ですけど』(97)などは典型的なガールズムービーだ。男女共に人気の高い『愛のむきだし』や『ヒミズ』(12)には男性視点と女性視点がせめぎあう複眼的な面白さがある。

AKB48の元研究生・冨手麻妙(とみて・あみ)を主演に抜擢した『アンチポルノ』は、完全に♀園子温作品だと言っていい。人気女流作家・京子(冨手麻妙)の華麗で刺激的な1日が、これまでになくカラフルなセットの中で描かれていく。宮崎萬純が主演した官能作『奇妙なサーカス』(05)と同じように、どこまでが現実なのか、それとも京子の妄想世界なのか分からない、メタフィクション的ストーリーが展開されていく。

園監督が日活から懇願された形で『アンチポルノ』を撮ったのは2015年の夏。国会が安保関連法案で大きく揺れた暑い季節だった。オシャレなアトリエに篭った京子は二日酔い状態の頭で新作小説の構想を練っているが、京子を崇拝するマネージャーの典子(筒井真理子)との関係性も、取材に訪れた女性誌の編集者やカメラマンたちの存在も、どこまでがリアルなのか虚構なのか、とても曖昧で現実味が感じられない。この国の政治もマスコミも文化も、どこまでが本気で、どこからが茶番なのか。み~んなクソ野郎だ。そんな苛立ちや不安感がスムージーのように撹拌され、極彩色の悪夢ワールドが誕生する。アイドルもSEXも、そして作家としての才能も、すべて消費し尽くそうとする現代社会への怒りを、園監督は京子の裸体を使って吐露していく。撮影段階では国会議事堂前のデモ行進に京子が加わるシーンもあったそうだ。『自殺サークル』(02)を観て以来、園監督の大ファンだという冨手と園監督の心の中にいる♀園子温とのシンクロぶりを楽しみたい。

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