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これはドキュメントなのか!?『豆腐プロレス』に見る、AKB48“興亡の軌跡”を紐解く

「工事現場同盟」は、そのままAKBグループにおける“バラエティ班”と言われるメンバーたちが演じている。バラエティ班とは、アイドルらしからぬ言動でバラエティを盛り上げる役割のメンバーたちのこと。ユンボ島田を演じる島田晴香(AKB48)は、持ち前の負けん気の強さと体格から親しまれ、AKB48の番組だけでなく、いわゆる外番組でも活躍してきた。クイウチ松村を演じる松村香織(SKE48)は研究生から上がれずにいたが、かつてキャバ嬢をやっていた過去をおおっぴらにする“タブーなしの姿勢“を貫き、キワモノとして選抜総選挙でも上位に這い上がってきた叩き上げの人である。また、セコンドにいる山田野絵(NGT48)も、酒焼けしたようなしゃがれた声で話題に。NGT48のバラエティ班として頭角を現しつつある。

 対するハリウッドJURINAやエメラルドHARUKAといったメンバーは、そういった“バラエティ班”とは対照的に、“王道”として積極的に前面に立たされてきた。いわばAKBの顔となる存在。ハリウッドJURINAこと松井珠理奈は11歳でSKE48の一期生に加入すると、秋元康が大絶賛。「大声ダイヤモンド」(キングレコード)でいきなりAKB48のセンターに抜擢されて以来、選抜メンバーの常連になっていった。エメラルドHARUKAこと兒玉遥は、HKT48の一期生としてデビュー後、常にフロントメンバーとして活躍してきた。中井りか、加藤美南も、NGTのフロントメンバーとして期待されるメンバーたちである。

 こういった背景から、先のユンボ島田の「遊びじゃねえんだ。こっちは勝つためにやってるんだ」というセリフには重みがある。どんなメンバーでも、「国民的アイドル」のAKB48に加入した以上、活躍したいはずだ。しかし、とにかくメンバーが多いAKB48グループのなかでは、ただかわいらしくいるだけで注目されるわけではない。

 だからこそ、自分が目立つためには、アイドルらしからぬ“汚れ仕事”ですらこなす必要がある。アイドルもプロレスも“正しい”ことだけでは、這い上がれる場所ではないとでも言おうとしているのか。また、このシーンは、奇しくもどちらも「はるか」という名前のメンバーであるというところがまた面白い。

 もう一つ、学校での宮脇咲良と向井地美音のやりとりのシーンを見てみよう。宮脇も向井地も、どちらもAKB48の次期センターとして将来を注目されるメンバーだ。言うなれば、センターの座を奪い合うライバルでもある。

 宮脇咲良(HKT48)は、本来であればHKT48のセンターとして頭角を現すべき存在だ。だが実は、HKT48でのセンターは「12秒」(ユニバーサルミュージック)での兒玉遥とのダブルセンターのみ。にもかかわらずデビュー一年目から総選挙でランクインし、あっという間に上位へとのぼりつめた。もしかしたら、彼女がHKT48のセンターにならないのは、AKB48のセンターとして期待されているからかもしれない。

 一方、向井地美音は、ドラマ『アンフェア』(フジテレビ系)で篠原涼子の娘役を演じたことがよく知られているように、子役としての経歴が長い。しかし、AKBグループとしての経歴だけでいえば、宮脇の後輩にあたる。そして、AKB48のメンバーとして、AKB48のセンターになりうる存在としてデビュー時から注目されてきてはいるものの、2016年の選抜総選挙ではまだ宮脇に追いつくことはできなかった(宮脇は6位、向井地は13位)。

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