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中国“ヤバい”漫画家・孫向文の「日本アニメ文化論」

中国人ならソッコー裏切る!? 『聖闘士星矢』が描く「絆」の本質とは?

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。僕が親日家になったきっかけは、幼少時に日本のアニメに興味を持ったことです。現在、日本のアニメは世界中で評判を呼んでいます。こうしたアニメから垣間見える日本文化の神髄を、中国人目線で分析していきたいと思います。

■中国でも大人気だった『聖闘士星矢』

 車田正美原作の『聖闘士星矢』(集英社)は、「聖衣」(クロス)と呼ばれる甲冑をまとった少年たちが闘いを繰り広げる漫画です。日本では1986年からテレビアニメ版が放送されましたが、中国では放送権の問題や政府の検閲などが重なり、6年後の92年から放送開始しました。当時、中国のとあるテレビ局は毎週18時半に「630アニメ」という放送枠を設けており、その枠で放送されたアニメはたいてい国民的人気を博していました。そして『聖闘士星矢』もご多分に漏れず、中国中の子どもたちが夢中になったのです。

 当時小学生だった僕もその中の一人で、食事時に夢中でテレビを見ていたので、母親にたびたび叱られました。クラスの男子で『聖闘士星矢』を見ていない者はみんなの輪に入れないほどで、さらに本来は男子向けの内容であるにもかかわらず、女子のファンも多くいました。僕が幼稚園児の頃はアメリカのディズニーアニメのファンだったのですが、『聖闘士星矢』のほうが、はるかに完成度が高かったこと、同じ東洋の国の作品であるためか、共感できる面が多く、一気に気持ちがなびきました。『聖闘士星矢』の影響から、僕と同世代の中国人は親日感情が強い傾向があります。

『聖闘士星矢』には、日本独自の文化や思想が感じられます。まず、ヒロインの城戸沙織は女神・アテナの化身という設定ですが、「神が現世に現れる」というアイデアは、「神の子孫」とされる天皇が存在する日本の作品だからこそ生まれたものだと、訪日後に気づきました。

 作中では「小宇宙」(コスモ)と呼ばれる潜在的エネルギーが存在し、登場人物はこの力を使用して超人的な能力を発揮します。これは共産主義による無神論がはびこり、科学で説明できないものは認めない現在の中国出身の作家には思いつかない設定です。ただ、荒唐無稽なものかというとそんなことはなく、現実の人間は危機が訪れた際、限界以上の能力を発揮することがあります。この描写は『聖闘士星矢』と同じ「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載された『キン肉マン』でも「火事場のクソ力」と呼ばれて表現されています。

 また、『聖闘士星矢』における一部登場人物は「第七感」(セブンセンシズ)と呼ばれる能力を持ち、あらかじめ危機を察知することが可能です。これも仮に中国の漫画編集部でこうした設定を提案したら、非現実的だとして却下されるでしょうが、「第六感」「女の勘」などと呼ばれる不安察知能力は現実に存在します。アニメ『ガンダム』シリーズにも「ニュータイプ能力」という第七感と類似した設定がありますね。


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