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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.419

戦争が起きれば“防波堤”となるのはどこなのか? 三上智恵監督の最新ドキュメンタリー『標的の島』

戦争が起きれば防波堤となるのはどこなのか? 三上智恵監督の最新ドキュメンタリー『標的の島』の画像2沖縄の島々ではお祭りが盛んに行なわれ、先祖代々から伝わる精神文化が芸事と共に若い世代へと継承されていく。

 宮古島には地対艦ミサイル部隊など800人規模の自衛隊基地の建設が計画されているが、当初の予定地のひとつは島の水源地の真上だった。2016年3月、宮古・石垣の代表団が沖縄選出の5名の国会議員たちと共に、自衛隊配備の撤回を求める署名を持って東京の防衛省を訪ねた。防衛省のこのときの対応のいい加減さを、三上監督が回すカメラが映し出す。対応に当たったのは防衛省整備局防衛計画課のまだ若い班長だった。「宮古は地下水で生きている島だとご存知でしたか?」という代表団の問い掛けに対して、この班長はのらりくらりと受け答えし、やり過ごそうとする。「少なくとも基礎調査はしているので……」。では基礎調査しているのなら、なぜ島の水源地の真上に基地を設ける計画案が浮かび上がったのか。防衛省は島で暮らす人々の生活は配慮していなかったということではないか。しかも沖縄の離島から5人の国会議員を伴って上京してきたのに、まともな受け答えができない班長クラスを出してきたところにも防衛省の沖縄軽視がうかがえる。それまでやりとりを黙って見守っていた照屋寛徳衆議院議員の怒りが爆発する。「あんたはまったく誠意がない。去る大戦で軍隊は住民の命を守らなかった。軍隊は軍隊しか守らない。これが沖縄戦の実相であり、教訓なんだよ」。

 東京生まれの三上監督は成城大学で民俗学を学び、沖縄の民俗芸能や伝統行事に惹かれ、関西の毎日放送から開局したばかりの琉球朝日放送に転職した人。辺野古への基地移転、高江のヘリパット建設、そして宮古・石垣で進む自衛隊配備の抜き差しならない現状を伝える一方、それぞれの土地で先祖代々から受け継がれてきたお祭りや芸事を映し出す目線はとても優しい。石垣島で暮らす山里節子さんは、喜びと哀しみを即興で歌い上げる民謡「トゥバラーマ」の今や数少ない唄者だ。「私たちの島は物や金はないけど、歌や踊りで心を満たしながら、心を洗いながら生き抜いてきた」と語る節子さん。反戦の想いを込めて歌う「トゥバラーマ」が胸に響く。


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