参加するイベントから住みたくなるイベントへ──第2回「蒲田・コスプレこれくしょん」にOTAKU議員が語る新たなる希望
■コスプレイヤーが当たり前に歩く街へ
実にコスプレイヤーというのは、そこにいるだけでワクワク感を与えてくれるものである。昨年放映されたNHK大河ドラマ『真田丸』は大好評となった。そして、ゆかりの地である長野県上田市にも多くの観光客が訪れた。その上田市の観光の目玉といえば上田城である。
けれども、上田城には真田氏に絡む建造物は、残っていない。それどころか、上田城というのは、門をくぐったら神社があってお終いだ。歴史的建造物は、櫓ぐらいのものなのである。
ともすれば「がっかりスポット」なのだが、そうは感じさせない仕掛けがあった。平日にも、忍者やらくのいちやらの衣装を着た人々が「ようこそ~」などと出迎えていたのである。単にそれだけなのだが、その存在が「がっかり感」を変容させていた。大河ドラマだから、放っておいても観光客が来るだろうというところに、あぐらをかかず。なんだか、ワクワクさせてくれる仕掛けになっていたのだ。
「コスプレをしたい人や見物に来た人だけでなく、たまたま買い物に来た人も巻き込んで、みんなが楽しい気分を味わえる空間をつくっていければよいと思っています。コスプレで蒲田をつなげるといったところでしょうか」
おぎのは、そんな展望を語る。
儲けではなく、まずはスタッフも参加者も誰もが楽しめること。それが、もっとも重要な部分である。昨年の「OTAKUコスプレ祭り」は、区制施行70周年の関連行事ということで、大田区からは僅かながらも助成金が下りた。
でも、これらのイベントに関わる人々は誰一人として、そんな降ってくるカネをアテにしたり、打算的に動いているようには見えない。全国各地で行われているマンガやアニメを使った町おこしというものは、少なからず行政から下りるカネをあてにしているものが多い。それどころか、そうした公金を狙うゴロも跋扈するようになってしまった。
単純に、マンガやアニメに絡めた催しをすればオタクがたくさん来て儲かる。最先端のことをやっている……そんな低俗な意識が、悪の入り込む隙を与えてしまっているのだ。だから、本当に誰もが幸せになれる催しにするのならば、行政はサポート役。街の人々が自発的に、新しい取り組みを初めてくれるのが理想だと、おぎのは考えている。
「今回、行政と商店街の人々の協力で舞台は整いました。各店舗の人たちが、何か売り出しをしたりだとか、積極的に利用してほしいと考えています」
今回、巨大イベントと日程がかぶってしまったりした「蒲田・コスプレこれくしょん2017」。でも、その本質的な目的は地域の人々や、買い物に来る人たちに楽しんでもらうこと。だから、日程がかぶっても、ゴールデンウィーク初日のほうがよい……というのは、決して負け惜しみではない。
そして、蒲田の人々は単に客寄せのイベントではない、壮大な目標を掲げている。おぎのはいう。
「多くのイベントは、街に来てもらうのが目標ですよね。でも、私たちが考えているのは、大田区に住んでもらうことなんです」
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