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MC内郷丸「現代アイドルソング学概論」第6回

“レペゼン新潟”ここにあり!? NGT48「青春時計」に見る、地方と東京のヒップホップ抗争史

 一方、「フォーク」の要素。ラップに比べると、フォークは決して昨今の音楽シーンで大きくトレンドとなっているサウンドではないが、なぜだか秋元康プロデュースのアイドルグループは意識的に最近の楽曲にそれを取り込んでいるように思う。たとえば、「恋するフォーチュンクッキー」以降その傾向が如実に現れている。特に、NHK朝ドラ『あさが来た』の主題歌「365日の紙飛行機」の歌い出しは、往年の名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」と非常によく似ている。

 このあとに、フォークソング路線を完全に押し出した「翼はいらない」(キングレコード)をリリース。いずれにせよ、秋元康がフォークソング路線を取り入れることを模索していたことは間違いないだろう。

 意識的に取り込んできた「ラップ」と「フォーク」の要素。フォークのような懐かしいメロディラインと言葉遣い、そしてそれに合わせたアコースティックなバッキング。このトラックにラップ然としすぎない女の子のラップを乗せることで、単なる「ラップを取り入れた曲」でも、単なる「フォーク路線」でもない楽曲が完成した。ここ数年の楽曲の変化は、この曲のためにあったのではないかとさえ思えるくらいだ。

 NGT48がこれから、この「ラップ×フォーク」路線を延々と続けていくわけではないだろう。だが、このゆるさと懐かしさと若さが絶妙に折り重なった楽曲の魅力は、そのままNGT48の魅力のひとつになっていくのではないか。

 一方、我々ラッパーには「ラップ×フォーク」と聞いて、思い起こさずにはいられないアーティストがいる。MOROHAである。最近ではCMのナレーションもしているので、聞いたことがある人も多いのではないだろうか。

 アコースティック・ギター一本のバッキングと、そこに乗せる暑苦しい叫びに近いラップだけで活動を続けてきた彼ら。ラップ担当のアフロは中島みゆきが大好きだそうで、彼らの楽曲のフォークのような質感は、そういった嗜好から来ているのかもしれない。また、アフロは先に紹介したブルーハーブにも大きな影響を受けている。

 12年ごろは、ヒップホップアーティストとも共演していたのだが、現在ではロックバンドとの共演のほうが多く、日本語ラップシーンとは離れた存在。クラブでは「ギター?」と、ライブハウスでは「ラップ?」と言われてきた過去をMOROHAは辿ってきた。

 彼らもまた、地方の長野県で結成。しかし、ブルーハーブと同じように札幌に根を張るのではなく、東京へ飛び出すことを選んだ。NGT48はこれからどうなっていくのだろうか。新潟に根を張った活動を続けていくのか、それとも全国を意識した活動が増えていくのだろうか。どちらを選んでも、自分たちを信じ独自の楽曲を作りパフォーマンスし続けてきたMOROHAのように、力強く突き進んでいってほしい。
(文=MC内郷丸)

Twitterアカウントは@bfffffffragile

MC内郷丸の「ほんと何もできません」https://synapse.am/contents/monthly/uchigomaru

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レペゼン新潟! ハッ!

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最終更新:2017/05/01 11:23
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