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根なし草ライター・安宿緑の「平壌でムーンウォーク」

緊迫する北朝鮮情勢を「結婚できない男女のパターン」からひもとく

(2)「痛いところを突いてくる元カレ」北朝鮮問題ジャーナリスト

 この中には元総連関係者や脱北者も多く、第三国人でも知朝派ばかりです。彼らは一見、北朝鮮の暗部を暴き、声高に批判を繰り返していても、その裏には誰よりも朝鮮を気にかける心情が見て取れますし、北朝鮮文化や音楽に誰よりも詳しいです。

 要するに「痛いところを突いてくる元カレ」でしょう。全員が「北朝鮮憎し」をモチベーションにしているわけではありません。しかし、これはドMの女なら関係成立しますが、プライドが高い北朝の敵意の対象となるのは致し方ないともいえるでしょう。中にはヤッてもないのに「あいつはマグロだった」と言いふらすようなエセジャーナリストもいますが、間違いなく彼らは殺意の対象でしょう。脱北者は、話がややこしくなるので割愛します。

(3)「腐れ縁」一般在日クラスタ

 ひとくくりに在日といっても千差万別なので、大別すると

A 北朝鮮に無条件追従(数%)
B 自分なりの理解で、うまく距離を取る(半分以上)
C 完全なる北朝鮮フォビア(多くて3割くらい)
※()内は筆者の肌感覚

 メインはBになりますが、Aも本音では「しょうがねえな」と思いつつ、あえて一蓮托生を誓った人々も多いし、Cも愛情の裏返しであるパターンが多い。

 北朝鮮は前述のように「君のいいところもダメなところも全部知ってるけど、絶対に見捨てないよ」と言ってくれる人々に、もっと向き合わなければいけないでしょう(ダメな点が時折、理解を超えてくる問題はあるが……)。

「理想の私以外、愛されてはいけない」というのは自分の首を絞めるし、“婚期”も逃してしまいます。北朝鮮は、いいところばかり褒めてくれる人(国)ではなく、(1)(2)(3)をもっとしたたかに利用して転がすべきでしょう。今のままでは不十分だと思います。

 一方、敵対国。

「核を放棄したら対話してやる」というのは相手の言い分や自主性を一切無視し、「君が仕事を辞めたら結婚してあげる」と一方的に要求するダメな婚活男のメンタルそのものです。

 こうした条件付きの友愛を示してくる奴は「仕事を辞めてほしい」といって結婚後に経済DVしてくる男と同じで、北朝鮮にとっては信用ならないのです。北朝鮮はそれをわかっているからこそ、核開発、ミサイル開発で自衛するわけです。そもそも、ナイフを突きつけながら「武器を捨てろ」と言われて素直に放棄する人はいませんね。

 で、われわれ一般市民は、北朝鮮をどのように理解すればよいのか? 全体を見る時に、少しだけ「個」の目線で見てあげることだと思います。

 個と全体を同列に語ってはならないと言いますが、あえて個からの視点を適用しなければならないと私は考えています。個に即した分析や理解が広がることで、長い目で見れば平和につながると思っています。

 こういう文章を書くときに私が思い浮かべているのも、組織ではなく一般同胞、朝鮮労働党ではなく、北で出会った一般人民の顔です。

※本内容は個人の視点です。本国や関連組織の見解を代弁するものではありません。

●やす・やどろく
ライター、編集者。都内大学院の心理学部在籍中。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

最終更新:2017/05/08 18:00
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