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ストリートチルドレン、難民、代理母出産……世界各地の過酷なお産を巡る旅『世界の産声に耳を澄ます』

 日本では少子高齢化が著しいものの、世界に目を移してみると、1日に生まれる子どもの数はおよそ3.8万人にも及ぶ。この記事を読んでいるまさにこの瞬間にも、地球上のどこかで新しい生命が産声を上げているのだ。しかし、日本のように衛生的な環境で生まれる赤ん坊はごくわずか。世界中の母親たちの大半は、過酷な環境で子どもを産み、育てているのだ。

 そんな世界のお産に迫ったのが、ルポライターの石井光太氏。『物乞う仏陀』(文藝春秋)、『神の棄てた裸体-イスラームの夜を歩く』『レンタルチャイルド-神に弄ばれる貧しき子供たち』『遺体-震災、津波の果てに』(新潮社)などで知られる彼は、2013年から3年間にわたって9カ国を歴訪し、『世界の産声に耳を澄ます』(朝日新聞出版)を上梓した。

 中米のグアテマラ共和国では、第二次大戦後、36年間にわたって内戦が繰り広げられ、国土は徹底的に荒廃。先住民の多くが虐殺され、20万人以上の人々が死亡したといわれている。和平合意から20年以上を経ても、いまだこの国の政治・経済は停滞したままだ。石井氏は、この国でかつて行われてきた人身売買の実態に迫る。

「昔は外国人がやってきて、子どもを買っていったの。貧しい家に5人も6人も子どもがいると育てられないでしょ。だから、親も赤ちゃんを売っちゃう」

 農家の女性がこう証言するように、年間4,000人あまりの子どもたちが養子としてアメリカに送られるグアテマラは、中国に次いで第2位の養子提供国。養子提供はひとつの「ビジネス」となっていた。そんな国で、子どもをアメリカ人に「売った」男性は、石井氏の取材に対してこのように答えている。

「裕福なアメリカ人の里親に預けられるなら、グアテマラよりずっといい生活ができる。どうせここにいたって、コヨーテ(不法越境を助ける仲介業者)に大金を払ってアメリカに行くことになるんだ」

 貧しい家に生まれた子どもは、病気になったり、ストリートチルドレンになる可能性が高い。また、成長しても、ろくな仕事のないグアテマラではなく、不法移民としてアメリカに生きる道を見いだす人は少なくない。グアテマラの過酷な現実が、親に人身売買という道を選ばせるのだ。

 08年から、グアテマラ政府は国外へ養子に出すことを制限し、養子ビジネスに対する規制に乗り出した。しかし、その結果生まれたのが、代理母出産という新たな搾取の方法だ。先進国の不妊症カップルや同性愛カップルが、グアテマラ人女性の子宮を借りて子どもを産ませる。そんなビジネスが今、特に貧しい先住民の間で広まっている。美人で有名なツツヒル族は人気で、アメリカ人好みの目鼻立ちのくっきりとした子どもが生まれるといわれる。石井氏は「これでは、ペットショップで高値で売れる犬をつくるために種を混ぜるブリーダーと同じ発想ではないか」と憤りながらも、ストリートチルドレンが行き交うエクアドルの現実を見れば、単にそれを否定することもできない。代理母には、多額の報酬が支払われるのだ。


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