日刊サイゾー トップ > その他  > モノブライト出口博之の特撮自由帳(10)『ウルトラマンジード』と“親子”
【おたぽる】

新作ウルトラマン『ウルトラマンジード』放送直前! 特撮における“親子関係”とは

 ここからは個人的な解釈になりますが、
 任侠の世界にも通じる血を飛び越えた関係性がウルトラシリーズにもたらされたことによって、父の実子・ウルトラマンタロウが誕生したのではないでしょうか。

 これまでのヒーロー番組の醍醐味は、敵の驚異や恐怖との戦い、その戦いを通して主人公が心身ともに成長する物語、仲間との友情と決別、などなど。シリアスで骨太な手触りが多く、そのどれもが根底に「孤独感」があり、帰る場所もなく人知れず戦うヒーローの姿に私たちは胸を打たれます。
 しかし、『ウルトラマンタロウ』は真逆の環境にいます。なんたってお父さんは宇宙規模に展開する組織の大隊長という超キャリアだし、お母さんは誰よりも深い愛でいつでも見守ってくれるし、そんな両親の元を離れ息子が頑張る。いわゆる親しみやすいホームドラマの構造なんです、『タロウ』は。親しみやすさは大事ですが、行き過ぎるとヒーローの神秘性がなくなってしまうリスクもあります。

 では、なぜ『ウルトラマンタロウ』はきちんとヒーロー番組の面白さを体現しているのか。それは血縁関係を越えたウルトラ兄弟たちとウルトラの父の存在があるからです。
彼らが培った関係性は、隊長(ウルトラの父)の実子・タロウの特別扱いを良しとせず「兄弟の末っ子」として自分らの序列に組み込み、ひとりの戦士としてタロウとともに戦い、彼の成長を手助けします。タロウもその期待に応えるべく、持ち前の才能を開花させ一人の戦士として覚醒していきます。

 家族設定にきちんと説得力があると、シリアスな展開からホームドラマ風の優しい展開まで作品の世界観を崩さずに幅広い物語を描くことが可能になるのです。そういった意味で、ウルトラマンタロウで提唱したヒーローの血縁関係は、以降の特撮作品に多大な影響を与えることになります。

1706_degu02.jpg「怪獣島の決戦 ゴジラの息子 東宝DVD名作セレクション」

・次の時代に受け継がれる親子の物語
 特撮作品での「家族もの代表」は『ウルトラマンタロウ』ですが、親子もので考えると忘れてはならない作品があります。それは『ゴジラ』です。ゴジラが親父になる、そんな瞬間が映画『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(67年)で見られます。

 ゴジラと言えば、善悪を超越した圧倒的なカタストロフィと人類への警鐘といったシリアスな作品性が特徴ですが、一方ではゴジラをヒーロー怪獣として扱う作品もあり、家族で楽しめる明るい活劇映画としての面も持ち合わせています。

 ゴジラの息子・ミニラの誕生は、シリーズ全体を見ると異質な作風です。よちよち歩きのミニラに特訓をつける姿や、大きな怪獣にいじめられているところを助けたり、ゴジラらしからぬホンワカした雰囲気は、ともすれば時代の徒花となる作品の可能性もあったと思います。いわゆる「珍作」的な扱い。しかしミニラは怪獣島決戦から以降、『怪獣総進撃』(68年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラオール怪獣大進撃』(69年)、『ゴジラFINAL WARS』(04年)などに出演を果たし、今ではゴジラシリーズには欠かせない存在になっています。

 ゴジラに息子がいるという概念は、作品全体にわたりゴジラの性格を大きく変える要因となっているのと同時に、ゴジラは完全一個体ではなく、その都度なんらかの原因で生まれ、代変わりしている、という新しい方向性を生み出しました。これにより作品ごとで起こるゴジラの造形や性格の違いは「別個体のゴジラ」と見ることができるのです。
つまり、よちよち歩きのミニラが立派に成長した姿が、のちの作品のゴジラである可能性も十分にあり得るのです。


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