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破壊神ゴジラに命を吹き込んだ男の汗だく昭和史! CGにはない重みと妙味を感じさせる『怪獣人生』

 2017年8月7日、ゴジラ俳優が亡くなった。1954年に劇場公開された大ヒット映画『ゴジラ』で、怪獣ゴジラのぬいぐるみ役者(スーツアクター)を務めた中島春雄さんが88歳の生涯を終えた。14年に新書版が発売された中島さんの自伝『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』(洋泉社)を読むと、怪獣映画の金字塔となる第1作『ゴジラ』の撮影現場の熱気をありありと感じることができる。

「G作品」と表紙に書かれた奇妙な台本を、東宝撮影所で中島さんが渡されたのは25歳のとき。当時の東宝は所属俳優がおよそ200人いたが、スター級の「Aホーム」と大部屋俳優の「Bホーム」とに分かれていた。「Bホーム」はさらに2つに分かれ、東宝に入って5年目になる中島さんはエキストラや吹替え(スタント)もやるB2の役者だった。

 戦争映画『太平洋の鷲』(53)で火だるまになる飛行兵を中島さんが演じたことから本多猪四郎監督に気に入られ、極秘に準備が進んでいた「G作品」の主演に抜擢された。特撮シーンを担当する円谷英二から「キツい仕事だけど、やれるかい?」と尋ねられるが、給料が安いB2の役者にとっては手当てが付くキツい仕事は大歓迎だった。しかも、中島さんは交際中だった奥さんとそろそろ身を固めようと思っていた矢先だった。かくして、中島さんは身長50mの大怪獣という設定のゴジラのぬいぐるみの中に入ることになる。

 元祖ゴジラ俳優と呼ばれる中島さんだが、実はゴジラのぬいぐるみには先に入った俳優が存在した。仲間内からテッチャンと呼ばれた手塚勝巳という元プロ野球選手。当時41歳で、大部屋俳優の親分的存在だった。当初はプロ野球出身の体力自慢で年齢も上だったテッチャンが、国会議事堂の破壊シーンなどの目立つ場面が割り当てられたが、撮影が進むにつれて中島さんがゴジラの中に入る時間が増えていく。初期のゴジラのぬいぐるみは尋常ではないほどの重さで、100kgほどあったと言われている。また、一度入ればぬいぐるみの中はサウナ状態で、しかも素材はプラスチックのように固いゴムだったことから動かすことが非常に難しかった。最初のテストの段階でテッチャンが3メートルほど進んだ後に倒れて「とても無理だ!!」と声を荒げたのに対し、中島さんは体中から汗を吹き出しながらも「よーし、もういいよ」と声を掛けられるまで10メートルほど歩いてみせた。中島さんは学生時代に柔道を学び、戦時中は海軍で鍛えられていた。終戦後は食べていくために、どんな仕事でもやった。若くて、仕事を選り好みせず、またどうすれば怪獣らしい表現ができるか研究熱心だった中島さんは、次第
にゴジラと一体化し、スーツアクターの第一人者となっていく。


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