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元TBS記者の「詩織さん」準強姦疑惑騒動はまだ終わらない。検察審査会の「不起訴相当」が民事で覆る可能性

 「週刊新潮」(新潮社)がかねがね報じている、元TBS記者でジャーナリストの山口敬之氏による準強姦疑惑。被害に遭ったという女性・詩織さん(28・苗字は家族の意向により非公表)が検察審査会に審査を申し立てていたが、9月22日、「不起訴相当」の議決が公表された(議決は21日付)。

 2015年4月、東京・恵比寿で山口氏と会食した際に記憶をなくし、気づけばホテルの部屋で仰向け状態となり、コンドームをつけていない状態の山口氏が跨っていた……という詩織さんの告発記事が「新潮」に掲載されたのは今年5月。記事には、2015年4月30日には高輪署に告発状が受理され、捜査が行われていたが結果「上からの指示で逮捕できなかった」と捜査員から連絡を受けたとある。その後山口氏は書類送検されたが、嫌疑不十分のために不起訴処分になっている。今回、これを不服として詩織さんが検察審査会に審査を申し立てていた。

 山口氏は弁護士を通じて「私を犯罪者と断定するような報道がされ、名誉は著しく傷つけられた。一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく、不起訴が確定したことで完全に終結した」などコメント。詩織さんは「結果を知り驚きました。『不起訴処分を覆すに足る事由がない』と判断されたことについて、なぜそうなったのか、しっかり説明していただきたかったです」とコメントした。検察審査会は今回の不起訴相当の議決理由について、詩織さんがコメントするように「記録及び資料を精査し、慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の制定を覆すに足りる事由がない」とだけ発表している。

 さてこれで一件落着、とは当然なるはずもなく、この不起訴相当の議決を受け、再び報道は加熱した。「新潮」の第一報からすでに“安倍官邸御用達ジャーナリスト”とも言われる山口氏に対する当時の警視庁刑事部長・中村格氏による“忖度”があったのではないかという疑惑が取りざたされており、この議決もそうした“忖度”や“圧力”があったのではないかと報じるメディアもある。

改ページ

 10月5日号の「新潮」にも、検察審査会での議決に際して怪しい点があったと報じている。詩織さんの代理人弁護士のコメントとして、今年7月、第6審査会の事務局長から追加の証拠の提出時期を確認され、“証拠を追加のうえでの議決を希望されますよね?”と聞かれ“こちらにも都合がありまして”など、「あたかも、証拠がぜんぶ揃っていないのに判決を下していいですかと裁判官が聞くような行状」(記事本文より)があったのだという。

 加えて、審査に関しては審査員が望めば補助役の弁護士をつけることもできるが、この件に関してはついていなかった。検察官とは異なる立場の法律家の意見を聞くという状況にはなかったと記事にはある。

 だが実際には、検察審査会が「起訴相当」と議決を下すことは稀である。裁判所ホームページによると平成28年の検察審査会の受理件数は2190件。起訴相当という議決が下された件数は3件。不起訴相当は2023件。この件に関して何らかの圧力が働いたと見るには難しい現状がある。それでもやはり「新潮」の第一報が確かなら、捜査の時点から山口氏への“忖度”があったことになり、それゆえ、この議決は終わりではなく新たなステージの始まりと見るものも多いのだろう。

 詩織さんももとよりそのつもりだ。「新潮」(10月5日号)には彼女のインタビューも掲載されており、そこでは「民事で闘う」と、幕引きを図るつもりは毛頭ないことを宣言している。またそのために証拠を揃えることができるともある。特に、事件の舞台とされるホテルの防犯カメラ画像は現在入手できていないが、民事で争うことが決まれば提出が可能だと約束されていると明かしている。

刑事手続で無罪が、民事手続で過失に

 実際に刑事手続の結果と民事手続の結果が異なるケースは存在する。2012年12月に秋田市内の国道で交差点を横断中に乗用車にはねられ死亡した中学3年生の女子(当時15)の母親が、車を運転していた男性に慰謝料など約4500万円を請求した訴訟について、秋田地裁は9月25日、男性に請求通りの支払いを命じた。これは男性側に過失があると認められた判決だが、実際の捜査の結果では“女子生徒が赤信号を横断していた”と女子生徒側に過失があるとされていた。

 男性は女子生徒をはねたあと、自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕されたが、2013年7月、秋田区検が『女子生徒が赤信号で横断歩道を渡っていた』との捜査結果を基に男性を略式起訴し、秋田簡裁が罰金70万円の略式命令を出していた。母親はこれを受け2014年12月に提訴。男性側は民事の法廷でも当時の捜査結果をもとに「走行車線の信号は青で、女子生徒が赤信号を無視して横断歩道を渡った」と主張。過失相殺を求めていた。

 ところがこの民事訴訟を担当した斉藤顕裁判長は、男性が青信号を確認したとする現場手前の状況について「緩やかなカーブで信号が見えず、青だったとは確認できない」と、当時の捜査結果とは異なる指摘をした。さらに女子生徒が赤信号を無視して横断する事情もないとし、男性側の主張を退けたのである。

 検察審査会の議決結果は想定内だ。勝負の場は民事に移された。そこで詩織さん側から、どんな証拠が提出されるのか。山口氏がどう反論に出るのか。まだ幕引きなど、はかられてはいない。これからが本番だ。

(鼻咲ゆうみ)

最終更新:2017/09/30 07:15
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