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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.461

人気女優ミシェル・ロドリゲスが性転換手術をした!? 2018年きっての珍作No.1に決定『レディ・ガイ』

 ミシェル・ロドリゲスはフルヌード、しかもヘアヌードさえ惜しげもなくさらけ出しているのだが、ところがこれがまるでエロくない。なぜなら、彼女が演じているフランクは心がずっと男のままだからだ。肉体は女性であっても、中身が男性だと、観ている側にもセクシーには映らないという奇妙な感覚を我々は味わうことになる。そこにある肉体に宿っているのは女性の心なのか、それとも男性の心なのか。性と心と肉体との不思議な関係について、ふと考えさせられてしまう。

むしゃぶりつきたくなるようなイイ女になったフランク。裏社会のごろつきどもを手玉に取ってしまう。

 男としてのフランク、性転換手術によって女になったフランク、2人のフランクを特殊メイクの力も借りて演じ分けたミシェル・ロドリゲス。男性パートでは人工の男性器を股間に装着したまま演じ、そのことで自分は男だと常に意識しながら演じることができたと振り返っている。ちなみに彼女からのオーダーで、大きめの男性器が用意されたそうだ。また、ミシェルは自他共に認める「銃の扱いがいちばんうまい女優」であり、そのことに関して、以下のように語っている。

ミシェル「私はすごく銃が好きで、指の動きひとつで何かをぶっ壊せるとか、そういうところに魅せられている。自分の中に秘めたバイオレンス部分があるのかもしれないと思っていたんだけれど、よく考えてみると、ある意味それは脆さとか弱さの裏返しなのかもしれない。それって自分は女性であること、無防備であることを、銃を持つことで補おうとしているのかもね。銃にこだわる男性たちもそれは同じで、男性にとっての優位な社会、男性としての存在感を銃によって守ろうとしているんじゃないの?」

 低予算で製作されたB級アクション映画だが、娯楽映画という体裁のところどころに性と暴力との関係性が透けて見えてくる。物語の後半、どこにも行き場所のないフランクを匿ってくれた女性看護士ジョニーに対し、フランクは彼女を思いやる感情を抱くようになっていく。女になったフランクを繊細に演じてみせるミシェルの芝居にも注目したい。ただの珍作、怪作とは言い捨てられない奇妙な味わいが余韻として残る。

(文=長野辰次)

『レディ・ガイ』
監督/ウォルター・ヒル テーマ曲/ジョルジオ・モロダー
出演/ミシェル・ロゲリゲス、シガニー・ウィーバー、トニー・シャルーブ、アンソニー・ラバリア、ケイトリン・ジェラード
配給/ギャガ・プラス R15+ 1月6日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
(c)2016 SBS FILMS All Rights reserved
http://gaga.ne.jp/lady-guy

 

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最終更新:2018/01/05 18:51
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