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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 舞台の創り手がみる「ガチ恋ファン」
小説化記念インタビュー

舞台『りさ子のガチ恋▽俳優沼』脚本&演出家・松澤くれは氏に聞いた、創り手サイドからみた「ガチ恋ファン」って――!?<後編>

『りさ子のガチ恋▽俳優沼』(集英社文庫)

 元・モーニング娘。の新垣里沙が“若手俳優オタク”を演じ賛否両論、大きな話題を呼んだ、昨年8月上演の舞台、『りさ子のガチ恋▽俳優沼』(▽はハートが正式表記。以下同)。

 そんな本作が、今月20日に小説となって集英社から発売されたということで、編集部では、本作の脚本・演出家を手がけ、この度小説家デビューを果たした松澤くれは氏に直撃!

 前編に引き続き、後編では創り手からみた「ガチ恋ファン」や、脚本・演出家としてのルーツについてお話を伺った。

(インタビュー前編はこちらから)

※以下、作品について多少のネタバレを含みます。ご注意ください。

*  * *

■「ガチ恋」な主人公は、いろんなオタクの集合体

 

――皆さんの感想を見ていると、「自分の推しにも見てほしい」「読んでほしい」といった意見や、「ガチ恋だと思っていなかったけど、自分もガチ恋なのかもしれない」などの声もありました。

松澤 元々僕は、一人の女の子を描こうとはしていなくて。「私はりさ子じゃない」って思う人と、「私はりさ子だ」って思う人って、比重の違いかな? って思ったんです。100%りさ子と同じ人がいるわけはない。でも、100%違うって言い切れないんじゃないかって。

 だから、この作品は“自分がどれくらいりさ子だったか”っていう楽しみ方もあるのかなと(笑)。りさ子がしたことは悪いことですけど、「完全な悪」ではないんですよ。

――そう考えると、登場人物の中に、「100%、悪い人」っていませんよね。

松澤 悪いヤツは、一人だけいますけどね(笑)。でも、それは根底にあるんです。りさ子だけが悪いんじゃなくて、りさ子をああしてしまった周りの環境も描きたくて。友達や会社の同僚、応援している俳優……、周りから受ける影響によって人は変わるし、“運命”とまでは言いませんが、“巻き込まれていく”ことはあるんじゃないかなって。だから、一人でも他の登場人物が欠けていたら、この作品はきっと成立してないんです。

――そういう意味では、オタクはみんな、りさ子になり得る要素を持っているのかもしれないし、どこでそのスイッチが入るか分からないですよね。これから年齢を重ねていく上で、りさ子はどんな女性になるんだろうと気になってしまいます……(笑)。

松澤 「推し変」を繰り返してオタ活を続けるか、結婚したり何らかのタイミングで“オタク”とは完全に縁が切れるんじゃないかな。きっと、一貫しないと思うんですよ。「ずっとこの人を追いかける!」って思っていても、気持ちに嘘はつけない。「あんなに好きだったのに好きじゃない」って感じたら、現場に通うのも苦痛になるじゃないですか。

 でも「今まで通ってきたから」とか、お金を使ってきたから何となく惰性や情で現場に行く人もいると思うんです。そうなると、推し活がつらいって感じた時点で離れないと、キツいんだろうなって。だから僕は、推し変は別に悪いことだとは思っていないんですよ。

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