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江戸木純×叶井俊太郎のサイテー映画対談

サイテー映画との出会いは人生を大きく変える!? 『死霊の盆踊り』ほか映画史に残る珍作奇作たち

文=長野辰次(ながの・たつじ)

米国の批評サイト「ロッテントマト」で満足度0%を記録した、驚異のサイテー映画『死霊の盆踊り』。まさかのリバイバル劇場公開が実現。

 日本におけるサイテー映画の歴史の発火点となったのが、米国映画『死霊の盆踊り』(原題『Orgy of the dead』、1965年製作)だった。死霊化したトップレスダンサーたちが墓場で延々と踊り続けるだけという超低予算のホラー映画だが、1987年に日本で劇場公開された『死霊の盆踊り』は邦題のセンスのよさもあって劇場が満席になるという珍事となった。ちなみに『死霊の盆踊り』は、カンヌ国際映画祭常連の配給会社ギャガ(当時の社名はギャガ・コミュニケーションズ)の配給第3弾作品だった。

 80年代の日本ではまだ知られていなかったが、観た者の脳みそを空っぽにしてしまう『死霊の盆踊り』の脚本を書いたのは“史上最低の映画監督”として名を馳せることになるエド・ウッドだった。エド・ウッドの代表作『プラン9・フロム・アウタースペース』(59)と共に『死霊の盆踊り』も年末年始にリバイバル上映される。サイテー映画の仕掛け人である映画評論家の江戸木純氏と、これまでに『八仙飯店之人肉饅頭』(93)や『ムカデ人間』(09)など数々の鬼畜映画を配給してきた映画プロデューサーの叶井俊太郎氏が、30年以上にわたって関わってきたサイテー映画について語り尽くした。

***

――1987年に『死霊の盆踊り』が日本で劇場公開されたことで、我が国でのサイテー映画の歴史が始まった。江戸木さんにとっても、思い出深い作品ですね。

江戸木 “史上最低”というフレーズは、実は僕が苦し紛れで付けたものです(笑)。当時のギャガは今と違って、ビデオの版権を売るエージェントだった。創業直後で、社員は東北新社から移った僕も入れて3名だけ。創業者の藤村哲哉社長がマニアックな映画を扱う米国の会社ライノ・エンタテインメントから、中身を観ないで10本まとめて買ってきた中の1本が『死霊の盆踊り』だった。女性のヌードがあって、狼男やミイラ男も出るホラーものだから、ビデオ化したら売れるだろうってことだったんだけど、観たら本当にひどかった。セールスポイントがまるでないので、仕方なく“史上最低”と呼んで売った。当初は『ディスコ・ハカバカーナ 亡霊たちの盆踊り』という邦題を考えていたんだけど、あるプレゼンの際に「“死霊の盆踊り”みたいな映画です」と説明したら大ウケしたんで、『死霊の盆踊り』に決まったんです。ビデオは5000本も売れました(笑)。

叶井 『死霊の盆踊り』は東京ファンタスティック映画祭でも上映したでしょ? 会場に人が溢れていて、すごい盛り上がってた。訳が分からなかった。当時の俺、学生だったけど、あの異様なノリにはついていけなかったから。

江戸木 ホラーマスクをみんなで被って、渋谷の歩行者天国で踊ったの、『トゥナイト』(テレビ朝日系)が取材に来てくれるっていうから。でも、本当は『死霊の盆踊り』は東京ファンタの正式参加作品じゃなかった。東京ファンタの小松沢陽一プロデューサーに「面白い映画ない?」ときかれて、『死霊の盆踊り』があるよと話したら、東京ファンタでやろうと言ってくれて。当時の東京ファンタは渋谷でいちばん大きな劇場だったパンテオンでやっていたけど、上映するのに35ミリフィルムを用意しなくちゃいけなかった。そのことをA・C・スティーブン監督に国際電話で伝えたら大喜びして、自腹で日本に来ると言い出した。ところが、東京ファンタを主催していたニッポン放送が「いくらなんでもコレはだめ!」と怒って、東京ファンタで上映できなくなって。それで急遽、パンテオンのすぐ近くにあった渋谷松竹を借りて上映したんだよ。東京ファンタ“惨禍”作品ということにして。スティーブン監督はもう亡くなったけど、最後まで東京ファンタで上映されたと信じていたと思うよ。「こんなに感動的な上映会は初めてだ」と感激してたから。その後、『死霊の盆踊り2』の台本まで渡されたし(笑)。日本で製作費を集めてくれって。

叶井 『死霊の盆踊り2』? 誰も映画化しないよ!

江戸木 話の内容はまったく同じ。舞台が宇宙になって、音楽がロックになるだけ。『エドウッド』(94)を映画化したティム・バートン監督を取材した際に、「スティーブン監督が書いた続編の台本があるけど興味ないか?」と尋ねたら、「すごくある」っていうから渡したんだけど、それっきりになった(笑)。

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