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ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

”平成最後の夏”は松本穂香の夏! 『このせか』すずと真逆の”眼帯ユーチューバー”を怪演

 タイトルのアスアブとは宇宙的(アストラル)に異端(アブノーマル)という意味。ユーチューバーのキャッチフレーズである「好きなことをして生きる」を提唱するララは、すずと比べるとはるかに自由だが、過疎化した田舎町には自分の居場所がなく浮き上がっている。

 現在、全17話中、11話が終わったところだが、痛々しい青春ドラマにもブラックコメディにも見える。まだ全貌はわからないが、財政破綻まっしぐらの地方都市で生きるララの鬱屈と孤独だけは激しく伝わってくる。

 ララは目が据わっていて、ドスの利いた声で攻撃的なしゃべり方をする。片目を眼帯で覆い、意味のわからないことを口走っている危ない女で、おっとりとした口調でしゃべり周囲から愛される澄子やすずとは真逆のヒロインだ。

 コンパクトな作品だが、だからこそ松本の表現力の豊かさを堪能できる”問題作”である。追い詰められたララがどうなるのか、目が離せない。

『この世界の片隅に』と『♯アスアブ鈴木』、テレビとYouTubeという真逆の世界を横断することで、松本は女優として振り幅の広さを見せており、今後、さらなる飛躍が期待される。

 平成最後の夏は、松本穂香の夏として記憶されるだろう。

(文=成馬零一)

 

最終更新:2018/08/22 14:28
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