窪田正孝と勝地涼の同居を描いた『ヒモメン』、『おっさんずラブ』に便乗でOL民から賛否

■あざとい『おっさんずラブ』演出

　翔ちゃんが池目先生と同棲する（長短期間だけど）、という展開は、冒頭でも触れた通り、『おっさんずラブ』を思い起こさせました。

『おっさんずラブ』といえば、「ザテレビジョン」を発行するKADOKAWA主催の「ドラマアカデミー賞」では最優秀作品賞、主演男優賞(田中圭)、助演男優賞(吉田鋼太郎)、脚本賞(徳尾浩司)など6部門を受賞し、放送終了後も大変な話題を呼びました。

　もちろん、細かい設定は異なりますが、服は脱ぎっぱなしで洗濯すらまともにできない翔ちゃんは春田（田中圭）、なんだかんだ翔ちゃんの面倒を見てくれる池目先生は、春田の後輩の牧くん（林遣都）の姿に重なります。

　池目先生は翔ちゃんにパスタを作ってあげたり、面接のためにスーツやカバンを貸してあげるし、ネクタイの結び方まで教えてあげます。特にこのネクタイのシーン、

「だから、右と左をクロス……どうしてそこに入れた？ その穴に｡違う、ここ入れないんだ……」と一生懸命に結び方を教える池目先生に対し、「ねえ、ちゃんと教えて」と口をすぼめて甘える翔ちゃん。そして「ちゃんと教えてるぞ」と若干スネ気味な池目先生という2人の姿に視聴者は大興奮。「池目先生にネクタイ締めてもらってる翔ちゃんが可愛すぎて全てが吹っ飛んだ」「2人が仲良くしてるの萌える」「池目先生普通に優しい〜」「春田と牧を見ているようだった」と、反響を呼んでいました。

『おっさんずラブ』ネタはそれだけではなく、翔ちゃんが面接で訪れたヒエラル電機が、『おっさんずラブ』の春田が勤める天空不動産と同じ建物でした。

　ここまでくると、制作陣が狙って演出していることは明らかで、『おっさんずラブ』ロスに陥っているOL民（『おっさんずラブ』のコアなファン）の中には「便乗するな」「別モノだ」と、批判的な声を上げる人もいたようです。

　ただ、そうやって視聴者の間で話題に上がっているということは、制作陣の狙い通り、あざとい演出がうまく作用したということだと思いますし、便乗商法はうまいこといったのではないかと思います。自局のドラマだし！

　なんならもう少し同棲生活を続けて欲しいくらい、翔ちゃんと翔ちゃんに振り回される池目先生はなかなかのナイスコンビだと思いました。

■“人たらし”な翔ちゃん

　さて、前回の国会議員同様に、今回も、「夢 叶うんだったらズルすればよくないですか？　ロボの開発したいんですよね？」と、どストレートな言葉で手柴を救った翔ちゃん。

　なぜにそんなに彼の言葉は人の心を動かすのか、それはたぶん、翔ちゃんの言葉には嘘がないからだと思います（見栄のためにゆり子にはよく嘘をつきますが）。

　働かないでできるだけ楽をしたい翔ちゃんは、清々しいまでにヒモ体質。そのくせ、ゆり子との幸せや、お金のこととなると超貪欲です。無職で社会的地位はド底辺だし、失うものは何もないので、怖いもの知らず。普通の人なら躊躇してしまうようなことも、自ら飛び込んでいけるし、恐れ知らずで本音をバンバン言えちゃいます。その素直さが、刺さるんだと思いました。そんなことをしていたら、だいたいの人が嫌われるでしょうが、人たらしの翔ちゃんは、それを愛嬌と顔面力でカバーしています。

　実際にこんな人間がいたら、ほとんどの女性は、窪田くん並みのイケメンでなければ、関わりたくないというのが本音だと思いますが……。

■結論はもう出ているのに……

　すっかり慣れてしまったのか、そこまで翔ちゃんにクズさを感じないなと思っていた矢先、ラストで池目先生が住むマンションを、勝手に民泊に登録し、お金を得ていたという安定のクズっぷりを見せてくれた今話。

　相変わらず、仲直りして翔ちゃんにデレデレする川口春奈ちゃんはかわいかったし、勝地涼の顔芸も冴えわたっていました。

　次回は、ゆり子の“脱ヒモ作戦”によって、翔ちゃんが働きに出るようです。今話のラストで、「好きな事を仕事にしたいから、ずっと ゆり子のそばにいる事を仕事にしたい」という翔ちゃんに「いていいよ」と返事をしていたゆり子。

　それだけに、とっくにゆり子の答えは出ているし、頑張ったところで翔ちゃんは結局ヒモに戻り、ゆり子はそれを許してしまうという構図が安易に想像できます。何度繰り返しても学習しないようです。

　以降のお話は、それを裏切られるような何かがないと、視聴者もそろそろ飽きてくる頃合いかと思いますが、どうなることやら。窪田くんのかわいさでごまかされそうな気もしますが……。

（どらまっ子TAROちゃん）