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“失われた半分”を求めて人生は続いていく――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』最終話

 不正について調べていた完治は、井上の妻(阿南敦子)から、井上が常務から指示を受けていた証拠を手に入れ、事件を解決する。聡美(八木亜希子)と須藤(岡田浩暉)の結婚祝いにも夫婦二人で出かけ、全てがうまくいっているように思えた。

 しかし、ある朝、真璃子は完治に離婚届を差し出す。

「あなたの心の中には別な人が住んでる。そして、私にも他に好きな人がいる」

 そう思いを吐露し、二人は別れることとなる。

 完治は、今回の不正を暴いた功績により、本店に執行役員への就任を打診される。しかし、彼はそれを断り、銀行を辞める。

「人生が100年だとして、あと50年。残りの半生は、自分の新しい可能性を探ってみたい」

 そうして、それぞれが新しい道を歩き始めるのだ。

 3カ月後、真璃子はパン屋で働き始めていた。そんな時、冴が会いたいと言ってくる。病院に行った真璃子に、冴は「息子を見守ってあげて欲しい」と伝えるのだ。自分の意見に従ってくれる、どこまでも優しい息子。彼のわがままを通すには、自分が了承しなければならない。死期の迫った身にあって、彼女は、息子の思いに応えたのだ。

 完治の元には、栞の居場所を知らせるハガキが届く。彼女が糖尿病を患っていることを知った完治は、栞の元へと向かい、再会。ふたりはしっかりと抱きしめ合うのだった。

 3年後、完治と栞は山の中にカフェを開いていた。栞の体調もよく、幸せそうだ。そして、真璃子はパン職人として働き、日野との関係も続いている。もちろん、バックには主題歌が流れてくる。

 悲しい歌であるはずの「half of me」が、どこか優しく語りかけてくるように聞こえる。かつて一つであったはずの自分の半分。それを失うことは、どれほど辛いことだろう。しかし、一度でもその人と一緒になり、ともに過ごせたことは、ある意味幸せなことなのかもしれない。

 完治にとって、「失われた半分」とは、誰であったのだろう。真璃子か、栞か。おそらく、その時々によって、相手は変わっているのだろう。ただ、そんな相手に出会い、そしてその関係を守ろうとすることが、一つの生きがいであったことは間違いないだろう。

 相変わらず世の中は、不倫のニュースが次から次へと出てくる。私も不倫については、いい感情は持っていない。誰かを傷つけるという点において、世間から非難されるべきことだと思うからだ。

 このドラマの中では、不倫の果に結ばれ、幸せになった人たちが描かれた。たくさんの人を傷つけ、自分も傷ついて、それでも欲しいものを手に入れた。許されるべきではないと思いながら、ちょっと羨ましく感じる自分もいる。いろんな思いはあるけれど、こんなハッピーエンドがあってもいいのかな、そう思えるドラマであった。

(文=プレヤード)

最終更新:2022/11/24 12:11
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