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『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2019/01/11 22:30
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