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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

イチロー引退会見に見る、人気芸人たちとの共通点

イチロー

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月17~23日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

出川哲朗「1人のお笑い、出川哲朗としてスタート立てたんだなって」

 21日、イチローが現役引退を発表した。引退会見でイチローが口にした言葉には、印象深いものが多かった。

 たとえば、野球の魅力について問われたイチローは、こんなことを言っていた。

「団体競技なんですけど、個人競技だってことですかね。チームが勝てばそれでいいかっていうと、全然そうじゃない。個人としても結果を残さないと生きていくことはできない。その厳しさが魅力であることは間違いないですね」

 さて、先週のテレビでは、お笑い芸人の言葉にも印象に残るものが多かった。

 毎週1組のゲストを迎え、芸能人生を振り返るトーク番組『八方・陣内・方正の黄金列伝』(読売テレビ)。その17日の放送に出川哲朗が出演し、リアクション芸人としての半生を回想していた。若いころ、俳優を目指していた出川は、映画専門学校の同級生だったウッチャンナンチャンらと劇団を結成。ウンナン人気に後押しされてバラエティ番組から声がかかるようになり、リアクション芸に携わり始めた。

 そんな出川がターニングポイントのひとつに挙げるのが、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)への出演だ。ここで笑いが取れなかったら、芸人をやめて実家の海苔屋を継ぐ――。芸人仲間にそう伝えた上での挑戦だった。当時、この決意を耳にしたダチョウ倶楽部は心配したという。なぜなら、リアクション芸はチームプレイ。周囲を無視して1人だけ目立とうとすると、ビートたけしに「アイツはわかってない」と思われ、次のゲームから出番がなくなる。出川の決意が悪目立ちという形で裏目に出ないだろうか、と。

 しかし、結果として出川は初登場にして笑いを勝ち取り、爪痕を残す。活躍が評価され、CMに入る前の一言を任された出川は、「たけちゃん、これからもよろしくな」とたけしの肩を叩いた。すると、それを見ていたたけし軍団らが出川を囲み、ボコボコに。その輪の中心で「やめてくださいよ」と言いながらも、出川は感激していた。

「やっとウッチャンナンチャンの仲間の出川哲朗じゃなくて、1人のお笑い、出川哲朗としてスタート立てたんだなって」

 では、身近な芸人にとって、出川のすごさはどこなのか。同じリアクション芸人であるダチョウ倶楽部の肥後と上島は言う。

肥後「1人ですからね、出川さんは」

上島「そこがすごいと思うんですよ。熱湯風呂入るにしても、おでんやるにしてもザリガニやるにしても、1人で処理するでしょ。オレらは3人だからね」

 野球は団体競技であり、個人競技である。そこに野球の厳しさと魅力がある。そうイチローは語った。同じように、リアクション芸も団体芸であり、個人芸である。ピン芸人である出川は、単身でリアクションに挑み、常に結果を残す。しかし、そんな出川が芸人としてようやくスタートラインに立てたと感じたのは、多くの芸人に囲まれ、共にひとつの笑いをつくる、その輪の中心に立つことができたときだった。

 かつて「嫌いな男」や「つまらない芸人」の代表格だった出川は、今では幅広い層に支持される人気者である。同じ芸人からも、いるだけで笑いが保証される存在として信頼が厚い。笑いのアベレージヒッターである出川は、団体芸であり個人芸でもあるリアクション芸の厳しさと魅力を、体現しているのかもしれない。

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