ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

映画版『コンフィデンスマンJP』が大ヒット! 長澤まさみはテレビより映画向き?

2019/06/13 13:30

文=成馬零一
長澤まさみ

 長澤まさみが主演を務める映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』が好調である。全国の映画動員ランキングは2週続けて1位を獲得。早くも映画版第2作の製作が決定した。

 本作はコンフィデンスマンと呼ばれる信用詐欺師たちが主人公の物語だ。ハニートラップ以外は完璧な天才詐欺師のダー子(長澤)、お人好しのボクちゃん(東出昌大)、変装の名人のリチャード(小日向文世)、そして、ダー子に心酔する元悪徳詐欺師の五十嵐(小手伸也)。プロの詐欺師たちがお互いの利益のためにチームを組んでターゲットとなる権力者をだまして億単位の大金を奪い取る姿は実に痛快で、人気アニメ『ルパン三世』を現代的にアップデートしたかのような娯楽作品である。

 脚本は『リーガルハイ』(フジテレビ系)シリーズで知られる古沢良太。彼の脚本は二重三重に物語が入り組んだコメディテイストの物語が多く、見ている側をいつも翻弄する。

 そんな、虚々実々な本作の魅力を 体現するのが、長澤が演じる謎の女詐欺師・ダー子だ。彼女の役割はセクシーな峰不二子ではなく、ルパン三世。それもファミリー層受けを意識した現在の親しみやすいルパンではなく、初期テレビシリーズや漫画版で描かれていた謎の多いルパンだ。

 ダー子は劇中では過去が描かれず、毎回、詐欺のためにさまざまな女性を演じる。その姿は、作品ごとに違う人間を演じる女優そのものである。俳優にとって詐欺師を演じるというのは、最も難易度が高い仕事であると同時に、最もやりがいのある仕事なのではないかと思う。劇中で長澤はダー子の役のまま、詐欺で架空のキャラを演じるという二重の演技が要求されるのだが、そんなダー子をチャーミングで豪快な女性として見事に表現している。女優に“男前”という例えがふさわ しいかわからないが、こんなに豪快で男前の女詐欺師を演じられるのは長澤まさみだけだ。

 長澤まさみは現在32歳。1999年に開催された第5回東宝「シンデレラ」オーディションに応募し、史上最年少の12歳でグランプリを獲得した。同年公開の映画『クロスファイア』で女優デビュー。2004年に公開された映画、『セカチュウ』こと『世界の中心で、愛をさけぶ』が興行収入85億円の大ヒット作となり、10代の彼女は清純派女優として圧倒的な存在感を見せた。

 20代になるとドラマ『プロポーズ大作戦』や『ラスト・フレンズ』(共にフジテレビ系)などのドラマに出演。無垢な清純派から、明るさの中に暗い影と女としての色気を兼ね備えた大人の女優へと成長していく。

 そんな、20代に入った彼女の第2の代表作といえるのが映画版『モテキ』で演じた女性編集者・松尾みゆきだろう。『セカチュウ』で共演した森山未來と7年ぶりに恋人役で共演した本作で彼女が見せたのは、女の生々しさそのもの。監督は女優を魅力的に撮ることにかけて定評のある大根仁だが、長澤は大根に撮られることで、今までの優等生的なかわいさとは違う艶っぽさを見せて大化けした。

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