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三上博史、悪のレトリックが冴え渡った!! 存在感で福山雅治を上回った『集団左遷!!』最終話

文=長野辰次

福山雅治が正論おじさんになっちゃったよ!? 緊張感のないクライマックス『集団左遷!!』第9話の画像1
TBS系ドラマ『集団左遷!!』番組公式サイトより

  平成から令和をまたいだ、福山雅治初のサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。金融業界が舞台と思えないほどズボラな脚本、福山のコミカルな演技が“顔芸”と称されるなど多くの問題を抱えたドラマでしたが、何とかゴールに辿り着きました。平成最後の、令和初の下克上は果たせたのでしょうか。最終話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 三友銀行に勤める片岡部長(福山雅治)は、横山専務(三上博史)が政治家に不正な献金をしている事実を役員会議で告発します。ところがほとんどの役員は片岡の言葉には耳を傾けず、横山専務が副頭取に昇格することに賛成するのでした。片岡の正論は、横山専務の辣腕ぶりの前に敗北を喫したのです。

 このまま三友銀行は、横山副頭取による独裁支配へと進むのでしょうか? 片岡は反横山派である隅田常務(別所哲也)と共に、横山体制にはびこる不正問題をマスコミに公表することを決心します。

 もちろん、横山副頭取は黙ってはいません。片岡に協力する日本橋支店の副支店長・真山(香川照之)、裏金の流れをメモした秘密手帳を片岡に渡した梅ちゃん(尾美としのり)への出向を命じます。見せしめ人事です。片岡本人ではなく、周辺を狙い撃ちするという何ともゲスいやり口。片岡の首を真綿で締めるように、じっくりと責める横山副頭取でした。

 片岡と横山副頭取が直接対決するシーンが訪れました。真山らの出向が決まったことに、顔を真っ赤にして怒る片岡。そんな片岡に対して、横山副頭取は“悪のレトリック”を全開してみせるのでした。

横山「本当に会社を変えたいのなら、私のところまで上がってきてください。あなたを出向させないのは、あなたのがんばりを評価しているからです。これからの三友銀行に必要な人材だと思っているからです。会社が生き残るためには清濁併せ呑まなくてはならないんです」

 横山副頭取は、社運を賭けた新しい事業のメンバーに片岡を抜擢するつもりだと言います。そして、そこで実績を残せば、役員への道が開け、真山たちを出向先から呼び戻すことができるのだと。それまで「不正は許せない」の一点張りだった片岡の心は揺らぎます。部屋を出た瞬間、「クプッ」と小さく笑う三上博史。悪の華が咲き乱れた、『集団左遷!!』最大の見せ場だったといえるでしょう。

 

悪役・横山がいちばん嫌いだった人物とは?

 横山副頭取の悪の囁きによって、マスコミへの公表をためらっていた片岡ですが、結局は真山に「最後までブレないでください」と説得され、横山副頭取が政治家たちと癒着している事実を、金融庁や新しい提携先であるネット通販会社へとリークするのでした。

片岡「みんなは横山さんのような強い力は持っていません。でも、会社の役に立ち、お客さんに喜んでもらうために、噓をつかずにがんばってきたつもりです」

 最後まで正論を貫き通した片岡が、現代社会の“メフィスト”横山副頭取に引導をついに渡したのでした。

 あともう少しで、横山副頭取が夢想してきた未来型の新しい銀行が誕生するはずだったのですが、中学生のような正論を吐き続ける一人の石頭によって頓挫したのです。横山副頭取の脳内にあった輝かしい未来予想図は、砂上の楼閣のように崩れ落ちていきます。最後に横山副頭取は「す〜は〜」と息を整えてから、「では、みなさん! がんばってくださいッ!!」と張りのある声を残して退場するのでした。実に悪役らしい、あっぱれな姿でした。

 横山副頭取の不正を見逃していた責任から、藤田頭取(市村正親)も身を引くことになりました。経営陣は一新され、隅田常務が新しい頭取に選ばれます。出向が決まっていた真山は銀行を辞め、病気がちな妻(西田尚美)の傍にいられるよう妻の実家の会社を手伝うことになりました。梅ちゃんは隅田常務の片腕になったようです。そして、片岡は人材育成研修センターで若い世代の指導にあたることになります。不正に関わった人間は一掃され、三友銀行が再建へ向かうところで終幕となりました。

 最終話の主人公は、完全に三上博史演じる横山副頭取でした。もう少しで座れるはずだった頭取の椅子の前でヘタレこみ、それまで見せたことのない涙をこぼします。

 一方的にリストラを進める冷血漢にように思われた横山副頭取ですが、必ずしもそうではありません。腹心の部下・鮫島(小手伸也)が秘密手帳を梅ちゃんに無造作に渡したりしなければ、こんな事態にはならなかったはずです。それでも、横山は部下の鮫島を責めることはしません。何もせずに周囲の顔色ばかり見ている人間が、横山は大嫌いなのです。横山のこれまでの努力や独自性のあった将来設計は理解されないまま、誰にも見送られることなく横山は消えていくのでした。

 いつか、三上博史扮する悪徳ビジネスマンが暗躍するピカレスクロマンものを見てみたいです。小手伸也が出演している『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の続編に、三上がラスボスとして登場するのも面白そうです。

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