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『インハンド』最終話 山下智久の新たな代表作に? ツッコミどころ満載も続編を期待

最終話はツッコミどころ満載

 ところが、高家は5日を過ぎても死なず。実は実家の畑から採れた野菜にはさまざまな寄生虫が含まれ、そのどれかがエボラウイルスに対して強い抗体となっていたのです。そして、高家のカラダから弱毒化したウイルスを取り出し、生ワクチンを開発したことで相羽村の人々は救われ、封鎖も解かれるのでした。

 その後、高家は紐倉の元を離れてアジアの国で医師活動を始めるも、そこへ紐倉が現れて助手としてこき使われることに。また、牧野は念願だった外務省へ返り咲き、海外での任務を開始、というところで終了となりました。

 前回に続いて封鎖された相羽村が舞台となったのですが、BSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌が蔓延している割には、紐倉が防護服を着用せずに山奥へ足を運んだり、高家が呑気に花に水をあげたり、患者の収容所が簡易なテントだったりと、細部に意識が行きわたっていないために、極限状態の危機感が損なわれてしまう演出が残念でした。

 それに加えて、新太の研究仲間がウイルスを撒き散らした動機もいまいち理解できず。なぜ村を実験場にする必要があったのか? 最終回を盛り上げるべく、強引にパンデミックな展開にした感が否めませんでした。

 また、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の中に厚生労働省へ情報を流している裏切り者がいる、と前々回から煽っていた割には、御子柴隼人(オリエンタルラジオ・藤森慎吾)が「僕です」とあっさり自首。厚生労働省のお偉いさんとの会話を録音していたことを明かし、マスコミに流すという展開は安易かつ肩透かしをくらった印象です。

 最終話はツッコミどころ満載といった感じでしたが、全話を通じて評価するならば、メインキャスト3人のキャラクター、相互の関係性、ストーリーのテンポなど、どれをとっても満足のいくレベルだったと思います。

 特に紐倉に関しては、変わり者の天才、という手垢が付きまくった設定かつ山下のボソボソとした喋り方を見て、第1話の段階ではあまり期待感は抱けなかったのですが、高家との出会いや元助手・入谷廻(松下優也)を巡る過去のトラウマを断ち切ったことで成長。相変わらず喋る時のトーンは低いものの、徐々に人間味が増してきた印象です。

 その例として今回、人類の未来を守るためにある程度の犠牲は仕方がない、と主張する新太に同意を求められた際、否定した点が挙げられます。ドラマの序盤で同じことを訊かれていたら恐らく、紐倉は迷うことなく同調していたことでしょう。

 また、高家の実家の畑にエボラウイルスに抵抗する寄生虫が存在することに気づいたのも、それ以前に高家に連れられて畑仕事に繰り出していたからこそ。研究室から出て、人間的な交流を得たことで紐倉は真の天才へと変化したのではないでしょうか。

 視聴率的には物足りなかったですが、山下の新たな代表作になるポテンシャルは十分に秘めているドラマだと感じましたし、その成長をもっと見たい。シリーズ化をぜひ期待したいところです。

(文=大羽鴨乃)

最終更新:2019/06/28 16:00
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