日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『ルパンの娘』深田恭子の虚構性
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

『ルパンの娘』で光る、深田恭子の虚構性

『神様、もう少しだけ』で見せた存在感

 彼女が女優として大きく注目されたのは1998年に放送された連続ドラマ『神様、もう少しだけ』(フジテレビ系)だ。放送当時はいわゆるコギャルブームで、小室哲哉がプロデュースする女性アーティストがミリオンセラーを連発していた。

 深田演じる女子高生・叶野真生は、小室を思わせる人気音楽プロデューサー・石川啓吾(金城武)に憧れを抱いており、やがて2人は結ばれる。しかし、真生は啓吾のライブのチケットを買うために援助交際に手を出し、それが原因でHIVに感染してしまう。

 音楽プロデューサーと女子高生の恋愛、しかもそこに難病モノの要素を加えた本作は実にあざとい。しかし、援交でHIVに感染したというシチュエーションが加わることで、とても現代的な生々しい話へと変貌する。深田もアイドルとは思えない迫真の演技を見せており、男女の濡れ場はもちろんのこと、下着姿も披露している。その意味でとてもリアルな話だったが、そうでありながら現代のシンデレラストーリーとして成立していたのは、やはり深田が中心にいたからではないかと思う。

 つまりそのまま作ったらリアルで生々しくなる話が、深田を中心に置くことで、それがほどよく中和されていたのだ。

 この作用がうまく表れたのが、最近では『ダメな私に恋してください』や『初めて恋した日に読む話』といったTBSの火曜22時枠で放送されたラブコメだろう。

 深田が演じているのは、どちらも、仕事も恋もうまくいってない30代のさえない女性だ。そんな彼女の前に複数のイケメンが現れるラブコメ展開が人気の秘訣だが、ヒロインの置かれている状況はシリアスで、冷静に見るとかなりつらいのだが、どこかふわふわとした楽しい雰囲気がある。つまり、深田が中心にいることで、つらい現実を中和しているのだ。

 深田は、虚構性の高い作品に出演すればオブジェとして作品の一部としてハマるし、逆に生々しいリアルな作品に出演すれば中和作用を起こし、喉越しよく楽しめる。リアリティがないことは、演技において欠点ではない。作品次第では、最強の武器となり得るのだ。

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2019/09/04 14:00
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