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アカデミー賞トロフィをランプに改造! 没後1年で知る“樹木希林”的哲学の真髄『樹木希林のきもの』

『樹木希林のきもの』(別冊太陽編集部・編/平凡社)

2018年9月15日に、女優の樹木希林さんがなくなってからすでに1年がたった。没後、数々の追悼本が出版されその豊かな人生哲学に改めて注目が集まった。本稿ではそんな彼女の哲学を、“着物”について綴られた別冊太陽編集部による『樹木希林のきもの』(平凡社)から見ていこう。

 樹木希林さんはプリコラージュの人だ。

 本書にそう書いてあるわけではないが、強くそう感じた。プリコラージュとはフランスの文化人類学者、クロード・レヴィ=ストロースが好んで使った言葉で「寄せ集めて作る」といった意味だ。彼は本来の用途ではない物を組み合わせて、別の役立つ何かを生み出してきた人類の思考をプリコラージュと呼んだ。

 希林さんも同じようにプリコラージュを実践した人だった。たとえば、贈呈されたアカデミー賞トロフィにランプをつけて改造し、食卓に置いた。時には、古布をドレスに再利用したりした。

 本書では「きもの」においてのプリコラージュが多数紹介されている。余った布を帯や比翼にしたりするのは日常茶飯事。手近にあるものはなるべく処分せずに再利用して、合体しては壊すことを「きもの」においても繰り返していたことが、豊富な実物写真によって紹介されている。そんな希林さんがプリコラージュして作り上げた数々の「きもの」を眺めていると、普段着物など着ない自分も、いつかは着こなしてみたい、と思ってしまう。

 また、プリコラージュという意味でも究極なのは、希林さんが園遊会に招かれたときのエピソードだ。控え室で着替えていた希林さんは、持参していたはずの帯締めを紛失してしまい、切羽詰まった挙げ句、電気ポッドのコードを帯の上に締め、形を整えたという。

 そして、コードをつけたまま何事もなかったかのように、宮様方の前に出て、その場を凌いだという。ちなみに、そのまま帰ればバレないはずなのに、俳優の性なのか「実はね」とコードを披露し、その場を爆笑の渦に巻き込んだとのこと。

「物にも冥利がある」

 希林さんが繰り返し唱えたこの言葉に耳を傾けていると、「きもの」だけでなく、生活の色々な場所で創意工夫をしてみたくなる。僕たちは希林さんになることはできないけれど、プリコラージュの人になら、なれるはずだ。

最終更新:2019/10/15 12:12
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