“元アウトローのカリスマ”瓜田純士『ジョーカー』を大絶賛! 「俺とアーサーの違い」とは? 

純士「アーサーと俺の違いは、自分を出すか否か」

――そのほか、この映画で気に入った点は?

純士 テレビ司会者であるコメディアンを、貫禄たっぷりに演じたロバート・デ・ニーロですね。生放送を滞りなく進行しなくちゃいけないという場面で、ジョーカーが、みんなの顔が引きつっちゃうようなことを次から次へとやらかすじゃないですか。その状況下、デ・ニーロがとっさに機転を利かせるシーンが好き。

 もちろん細かいシナリオがあるんだろうけど、本当に引きつった感じ、そしてその引きつった状況から、ほかのゲストに腹の内を見られないように、ポンポン話題を変えていくところの演技がすごかった。生放送中のハプニングに対応する、みのもんたやタモリを見てるようでした。

 あとは映像美ですね。古い町並みや、酒場とか地下鉄がよかったです。舞台は古いのに、迫力がすごい。特に電車のシーンは臨場感たっぷりでした。ただ、これは劇場の問題かもしれないけど、若干ボリュームがデカすぎたかなって気もします。

麗子 おしゃれやな、きれいやな、と思えるシーンは確かにあったな。

純士 美しさと孤独さがたまらなかった。孤独な奴ってこうなりかねないっていう瀬戸際の状況。そういうのをあまり美化しちゃいけないんだろうけど、明日からそっち側に行っちゃうんじゃないかというギリギリのボーダーラインと、それを突破する心模様がとても上手に描かれていた。社会で居場所がなくて人に愛されてないから、彼はものすごく孤独だったんだと思うよ。

麗子 愛されようと努力すればええやん。

純士 そのやり方がわかんないんだよ。誰も教えてくれないから。現実社会の身の回りにも、ああいう、どこにいても「あっち行け」と言われるような際どい人って結構いるよね。

麗子 純士とかぶるな。

純士 なんでもかんでも俺にかぶらせるんじゃねえ! でも確かに、ひよっけと出会わなかったら、俺もあっち側に行ってたかもしれない。アーサーと俺の違いは、自分を出すか否かだね。アーサーはジョーカーという別の人格を作り上げて恨みを晴らしてたけど、俺クラスのナルシストになると、そんなことをして獄中に入ったところで誰が俺を称賛するんだ、割に合わないだろ、と思っちゃう。だって、名前を変えて顔を隠しちゃったら、瓜田純士の手柄にはならないじゃないですか。だから、あっち側へ行かずに済んだ。

「コンチクショウ」と思って、ヤケのやんぱちになりかけたこともあったけど、俺の場合、そういうときに、テレビ番組に呼ばれるような絶好の大舞台もなかったし。もしそういう機会があったら、俺もすべてをぶちまけて、一夜にして悪のカリスマになってたかもしれない。実際はそんなことはなく、ただの「痴話ゲンカ脅迫男」レベルで終わりましたけどね(笑)。

 でも、アーサーほどじゃないにせよ、理不尽にさげすまれて傷つくことって、誰しもあると思うんですよ。だから多くの人が、ジョーカーに共感するんじゃないでしょうか。女性は母性本能をくすぐられるのかと思いきや、ウチの嫁に関して言えば、まったくその気配がないという……。

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