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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.555

下腹部への強烈ボディブローが毎月襲ってくる!?  二階堂ふみ、伊藤沙莉の共演映画『生理ちゃん』

『生理ちゃん』の原作者は実は男性

体のだるさや眠気に襲われる青子だが、生理のせいにして仕事は休みたくない。ついつい、がんばり過ぎてしまうが……。

 職場でだるそうにしていた青子は、上司(藤原光博)からグダグダと小言を言われ続けるはめに。お手洗いで女性の先輩から「あなたも生理? お互いにがんばりましょう」と励まされる。女同士には、お互いの生理ちゃんが見えるらしい。でも、その先輩の連れている生理ちゃんはとても小さくて、かわいらしい。生理ちゃんの大きさは、かなり個人差があることがうかがえる。

 男はどうしても生理ちゃんの存在には鈍感だ。クリスマスシーズンに、苦労して予約したおしゃれなレストランや眺めのいいホテルで、彼女の表情が冴えないでいるとその理由を察することができずに逆ギレしてしまいかねない。女と男の間には、大きな大きな溝がある。生理ちゃんは、そんな恋人たちの成り行きをただ黙って見つめているだけである。

 男性が本作に興味を持っても、映画館にまで足を運ぶのはハードルが高いかもしれない。そんな方には、まずWebサイト「オモコロ」で無料公開されている原作コミックを一読してみることをお勧めする。いろんな職種・世代の女性たちと生理ちゃんとの葛藤のドラマが、一話につき16ページの短編漫画としてまとめられており、とても読みやすい。擬人化された生理ちゃんと女性たちとのやりとりから、男性が初めて知ることも多いはずだ。原作者の小山健は1984年奈良県生まれ、『生理ちゃん』で手塚治虫文化賞短編賞を今年受賞している。原作者が男性なことに驚くが、男性だからこそ生理を客観視して、キャラクター化することができたのだろう。

 珠玉の原作コミックの中でもホロリとさせるのは、日本製の使い捨てナプキンを開発したスタッフたちの実録エピソード。インド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』(18)の主人公は自分の奥さんのために廉価で清潔なナプキンを作ろうとして周囲から白眼視されたが、高度成長期の日本も同様だったらしい。男性社会の中で生理はタブー視され、ナプキンを商品化するのは苦労の連続だった。男たちの生理に対する無理解や偏見が、女性の社会進出を妨げ続け、逆にナプキンの開発・改良があったことが、女性の社会進出を促したことが分かる。

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