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東海テレビ『さよならテレビ』映画化記念インタビュー後編

ヤクザに人の生死、そして報道の裏側……東海テレビがドキュメンタリーを作り続けるワケ

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

この作品を見た上層部の反応は?

──テレビ業界の中でも、世代によって反応が異なるんですね。もう1つ気になるのが、これを見た上層部の反応です。どのように見たのでしょうか?

阿武野 当時の社長が、放送を見て私に聞いてきたのは「この番組はテレビに対する愛があるのか?」です。そこで、僕は「愛がなければこんな番組はできません」とはっきり言いました。それで納得してくれました。

──なるほど。上層部の理解があったからこそ、業界全体の話題をさらうような企画が成立したんですね。他局の方がおっしゃったという「東海テレビはまだ持ちこたえていると思った」の根拠となるような底力を感じます。

さてこれまで、東海テレビのドキュメンタリーは『人生フルーツ』や、『ヤクザと憲法』など11本が映画化されていますが、今回『さよならテレビ』も映画として公開されました。

圡方 『さよならテレビ』の場合、放送の時点から映画化が決まっていたわけではなかったです。テレビバージョンをつくったあとに、これは全国の人々に見てもらったほうがいいということになり、映画化の話が進んでいったんです。

阿武野 これまで、東海テレビのドキュメンタリーは11本を映画として公開してきましたが、いつでも公開する時には恐怖を覚えます。テレビで放送することも怖いけれども、映画の観客は、映画館でお金を支払って見に来ますよね。そんな人々の反響はいつもすごく怖いし、その分、とても楽しみです。

──テレビ放送版と映画版両方を見させていただいて感じたことがあります。テレビ放送版は「テレビの報道現場の今はどうなっているのか」がテーマですが、映画版になってそこに「ドキュメンタリーとはなにか」というテーマが加わったんじゃないか、と。

圡方 へえ! それはまた新しい感想です。どのへんでそのように感じられました?

──テレビ放送版よりも作品の長さがあることによって、シーンが増えてますよね。その増えた分の中に、敢えてきつい表現を選ぶならば「露悪的」というか、「実はここ、こういう仕込みをしてました」と制作のネタバラシが多く含まれている印象を受けまして。ありのままを切り取るはずのドキュメンタリーでそこを見せるというのは、問題提起したいことのひとつなのかな、と感じたんです。

圡方 それは考えすぎかもしれません(笑)。そもそもの制作の工程をお話すると、まず今回の映画版とほぼ同じ長さのものを作ったんです。で、そこから削ったのがテレビ版です。もともと映画になったらいいね、と意識して作ったというのもありますし。その後、映画も作ろうということで、もともとの長さのものを生かしたという形ですね。なので、映画に作り変えるときになにかテーマを足したということはないんです。たまたまそう見えたってことなんじゃないでしょうか。

──なるほど……。映画版でも、テレビ版でも、作り手側が恣意的に加えた変化はないということなんですね。いやたしかに、深読みしすぎでした(笑)。

 ところで、ドキュメンタリーを映画で上映することに対して、東海テレビは積極的ですが、ネット配信やDVD販売などはしていませんよね。これはなぜなのでしょうか?

阿武野 みんなが流れていく方向に行くのはあまり好きではないというのもありますね。一人の世界で、ネットで楽しんでもらうよりも、映画館に足を運んでもらい、不特定多数の人とともに、周囲の息遣いを感じながら作品を見てもらいたいというのが希望です。テレビがパーソナルメディアになっていっているからこそ、ネット配信やDVDといったよりパーソナルな方向ではなく、映画というソーシャルな方に向かうことが大事なのではないかと考えています。

──パーソナルな形で受容されてしまう一方、より多くの人々に見てもらうことがでるのがネット配信の魅力です。それを捨てでもやらないのは、どんな考えからなのでしょうか?

阿武野 ネット配信の場合、どうしてもお手軽で「消費」というイメージがあります。そうではなく、自分たちの作品の、もっと大事な手渡し方があるのではないか。それに、もしも、これまでの作品もネット配信をしていたら、ここまで東海テレビのドキュメンタリーに注目してもらえることはなかったでしょう。映画館でしか見られないからこそ、特別感がある。ただ消費されるものにならないような手渡し方の工夫があってもいいんじゃないかなと。

圡方 僕自身、通勤途中などでNetflixを見ていますが、どうしても細切れになってしまいますよね。映画館で見た時には涙するほど感動的だったはずの作品が、配信で通勤時間で細かく割って少しづつ見ると、あの時の感動がすっかりと抜け落ちてしまうんです。ディレクターとしては、自分の作ったドキュメンタリーがそのように消費されるのはやはり寂しいなと思ってしまうんですよね。最後まで集中して見た結果、生まれるリアクションを見たいんです。

 映画館ならば、最初から最後まで集中して見てもらうことができる。そして、上映後には見た人のリアクションにも直接触れることができます。テレビやネットなどでは、視聴者のリアクションを見ることはできないですからね。

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