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宇宙への取り組みを強化? 航空自衛隊に新設される「宇宙作戦隊」、23年度から本格運用へ

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

イメージ画像/出典:Luke,Ma

 「宇宙作戦隊」。まるで、SFアニメの中に出てくるような“陳腐”な名称だが、自衛隊に人工衛星の防護など宇宙空間での防衛力強化を行う部隊の創設が現実味を帯びており、その名称としてあがっているのが「宇宙作戦隊(仮称)」だ。

 契機となったのは米国。2019年12月20日、トランプ大統領は「宇宙軍」の創設が含まれた2020年度の軍事関連の歳出法案「国防権限法」に署名した。「宇宙軍」の創設は、宇宙分野での開発を活発化させている中国やロシアから、米国の人工衛星網を守り、軍事的優位を確保する狙いがある。ロシアは2015年に空軍と航空宇宙防衛部隊を統合した「航空宇宙軍」を創設している。

 実は米国にはすでに「宇宙軍」がある。2019年8月にトランプ政権が統合軍として編成したものだ。それを陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に続く、第6番目の組織として独立させる。国防総省によると、宇宙軍は空軍に所属していた兵士と文官を合わせて1万6000人体制となる。

 こうした米国などの動きを受け、日本も人工衛星の防護など宇宙空間での防衛力強化を行うための部隊として検討されているのが、「宇宙作戦隊」の新設だ。この部隊は2020年度に航空自衛隊に新設される予定で、航空自衛隊の名称も「航空宇宙自衛隊」に改称する予定。自衛隊法などの改正や態勢の整備を行い2023年度からの運用を目指している。

 先進国の目が宇宙に向く中、日本政府も宇宙への取り組みを強化している。2016年11月に宇宙2法と言われる「人工衛星等の打上げおよび人工衛星の管理に関する法律(宇宙活動法)」と「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(衛星リモセン法)」が成立し、人工衛星および打上げ用ロケットの許可制度などのルールを明確化することで、民間参入のための環境を整備した。

 さらに、2017年5月には政府の宇宙政策委員会が「宇宙産業ビジョン 2030」を公表、ベンチャー企業等の新規参入者層の拡大や事業化を積極的に支援することなどを掲げ、宇宙産業全体の市場規模を2030年代早期に2.4兆円程度に倍増させる目標を打ち出した。

 また、2018年3月には宇宙ベンチャー育成のため新たな支援パッケージを発表、宇宙ビジネス向けに5年間で約1000億円のリスクマネー供給を行うことなどを発表した。

 2020年度予算案では、人工衛星への電磁妨害の状況を把握する装置の取得、他国の衛星や宇宙ゴミを監視する宇宙状況監視衛星の整備に223億円を計上している。

 米国との間でも、宇宙監視網の強化で一致している。すでに、2023年に打ち上げ予定の日本独自の測位衛星「準天頂衛星」2基に米国防総省の監視用センサーを搭載、宇宙状況監視衛星としても運用する方向だ。

 このように、日本は米国の宇宙防衛体制強化策に歩調を合わせる形で、宇宙防衛網の強化に乗り出している。その一環が航空自衛隊の名称の「航空宇宙自衛隊」の変更と、「宇宙作戦隊」の新設ということになる。

 日本にとって、宇宙開発の先進国である米国と共同することは大きなメリットになるだろう。しかし、懸念されるのは在日米軍の経費の一部を日本政府が支払っている「思いやり予算」のように、米国は宇宙開発の分野でも日本に対して、コスト負担や対価を求めてくる可能性が大きいと考えられることだ。また、人工衛星は軍事利用と民間利用の線引きが明確ではなく、政府の方針によって利用目的が大きく変わる可能性もある。これらの点については、今後、しっかりと監視していく必要がある。

 2019年は米国のアポロ11号宇宙船が月面着陸に成功し、アームストロング船長が史上初めて人類が月に降り立ち、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」と述べた1969年から50年の節目に当たった。2020年が人類にとって有意義な宇宙開発が行われることを願いたい。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2020/01/14 12:12

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