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【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(1)

「読解力低下」騒動のウソとホント(1)解消されている“子どもの本離れ”

「今の子どもは本を読まない」はウソ!?(写真:Getty Images)

  昨年末あたりから、日本の子どもの読解力が低下していると話題になっている。その原因について「最近の子どもは本を読まないからだ」などとメディアや見識者は騒ぎ立ているが、実はどれも的外れな議論かもしれない――。『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)などの著者で、子どもの本をめぐる事情に詳しいライターの飯田一史氏が、5回にわたるシリーズで読解力問題の実態をえぐり出す!

◇ ◇ ◇

 2019年末、OECD(経済協力開発機構)が義務教育修了段階の15歳を対象に行う国際学力調査PISA(Programme for International Student Assessment)の2018年版結果が発表され、日本は“読解力”ランキングで過去最低の11位(OECD加盟国中の順位。全79の参加国・地域の中では15位)となったことが話題となった。

 その少し前には数学者の新井紀子が「日本の子どもは読解力がなく、教科書もろくに読めない。これではAI・ロボットに負ける」と主張する『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)がベストセラーになった。

 実は、こうした“読解力”騒動は最近始まったことではない。

今、子どもはもっとも本を読んでいる

 “読解力”問題は、PISAが最初の結果を公表した2001年から少なくとも3年おきに蒸し返されている――PISAは3年に一度行われ、発表されているからだ。

 何度行われてもPISAの測ろうとしている“読解力”(リーディング・リテラシー)とは何かを理解しない一部のマスコミや、思いつきの持論を展開する“識者”は、20年になっても「子どもの本離れのせいだ」「もっと本を読ませろ」などと言っている。

 ところが、毎日新聞社と全国学校図書館協議会による「学校読書調査」の推移を見る限り、「子どもの本離れ」どころか今の小中学生は1970年代以降でもっとも本を読んでいる。PISAの結果を受け、読書推進政策が2000年代以降、次々と始動して現在も継続しているからだ。

 では、なぜ12年には日本が1位を獲ったにもかかわらず、15年、18年でPISAの読解力ランキングは落ち続けたのか?

 これを探るには一度、この20年にわたる“読解力”騒動を整理しなければならない。

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