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【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(1)

「読解力低下」騒動のウソとホント(1)解消されている“子どもの本離れ”

文=飯田一史(いいだ・いちし)

ゆとり教育”を終わらせたPISAショック

 そもそもの始まりから振り返ってみよう。

 PISAの狙いは、当初から一貫して「実生活で直面する課題に対して、学校で学んだ知識や技能をどの程度活用できるか」を評価する点にある。

 初めて行われたPISA2000の結果、読解力ランキングで日本は参加32国中8位。トップのフィンランドに次いで2位グループ(順位は8位だが、2位のカナダと統計的な差はない)と好成績だったが、マスコミや教育関係者を中心に、これはフィンランドや韓国の後塵を拝するものと受けとめられた。

 そして、以下を典型とする「子どもに本を読ませろ」という主張が浮上する(つまり、この手の提言は十年一日どころか二十年一日なのだ!)。

 読書量と国語学力には明らかな相関がある。OECDの読解力調査でも、日本の場合「趣味で読書することはない」と答えた生徒の平均得点は514点だが、「毎日1時間から2時間読書する」生徒の平均得点は、541点で、27点高い。ところが、フィンランドの「毎日1時間から2時間読書する」生徒の平均得点は577点で日本より36点も高い。つまり、フィンランドではよく読書する生徒が高い得点を取るような教育が行われているのであろう。(有元秀文[国立教育政策研究所総括研究官・当時]「読書教育の曙光」、「図書館雑誌」Vol.97, No.6(03年6月号)、377・378ページ)

 これは文科省も同様の認識であり、対策に乗り出す。

 例えば、02年8月に文科省は「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を発表。ここでは、PISAの結果を取り上げ「趣味としての読書をしない」と答えた生徒がOECD平均31.7%に対し日本は55%もおり、「どうしても読まなければならないときしか、本は読まない」と答えた生徒が、OECD平均12.6%に対し日本は21.5%であることから、読書離れを指摘し、問題視している。

 この計画および01年12月に成立した「子供の読書活動推進に関する法律」を受けて、各自治体はそれぞれに読書推進政策を具体的に策定しなければならなくなった。こうして、草の根的にスタートしたブックスタート(0歳児に乳児検診の際にファーストブックとなる赤ちゃん絵本をプレゼントし、親子で本に触れ合う機会を作る運動)や、小中高校で行われる「朝の読書運動」を採択する自治体が増え、これらの取り組みは従来以上に広まっていった。

 続いて04年12月にはPISA2003の結果が公表され、日本は“読解力”で8位から12位に後退。これは“PISAショック”といわれ、政界・教育界からも次々と声が上がって文科省は“ゆとり教育”から“確かな学力”への本格的転換を余儀なくされる。そして、読書推進政策も加速した。

 05年7月には“言語力の涵養”を重視した文字・活字文化振興法を施行、同年12月には文科省が「読解力向上プログラム」を発表し、「読書活動を推進するためには、学校図書館の充実を図る必要がある」とした。このような流れを受け、例えば小学校における読書ボランティア(読み聞かせなどをする人)の活用は05年に急増し、以降も増加を続けて16年には活用校が全体の8割を超えている。

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