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宝塚の名作『風と共に去りぬ』が公演中止に!? ミネアポリス黒人暴行死事件が海を越えて問題に

天海祐希

 米国ミネアポリス(ミネソタ州)で白人警官が黒人男性を押さえつけて死亡させた事件をきっかけに、全米で抗議デモが発生している。抗議の輪は世界中に広がり、同地から遠く離れた宝塚歌劇団にも、その影響が及びそうな勢いだ。

 5月25日に発生した黒人男性ジョージ・フロイドさんの暴行死事件。怒りの声が全世界から上がる中、各方面で人種差別に対する検証作業が行われている。“奴隷制を生んだ人物”としてコロンブス像が次々と破壊され、グラミー賞受賞バンドのレディ・アンテベラムは、「アンテベラム=南北戦争以前」という単語が不適切だとして、バンド名を変更。ビートルズの名曲『ペニー・レイン』に対しても、“奴隷商人の名前から取った”として、批判が寄せられている。

 そして、具体的な対処を迫られたのが、名作『風と共に去りぬ』だ。マーガレット・ミッチェルが書いた同作は南北戦争が舞台の物語で、1939年公開の映画はアカデミー賞で主要な賞を独占。日本でも人気の作品だが、米の配信大手HBOマックスが内容を問題視し、一時配信を停止したのだ(その後、注釈付きで配信を再開)。演劇界に詳しいフリーライターがいう。

「『風と共に去りぬ』は、日本でもこれまで数え切れないほど舞台化されてきましたが、中でも有名なのが宝塚版の『風共』です。これまで天海祐希、真矢みき、鳳蘭など、そうそうたるスターたちが出演し、宝塚の演目の中でも『ベルサイユのばら』や『エリザベート』に並ぶ超人気作品。宝塚100周年の際にも、満を持して再演されました。

 ただ、作中には黒塗りした黒人役の俳優が、物語のカギを握る人物として登場するので、今後舞台化できるかどうか……。今回配信停止騒動が起きたことで、作品に色がついてしまったので、再演して悪目立ちするのは避けたいでしょうが、封印せざるを得ないとしたら、劇団としては痛すぎるでしょうね」

 過剰な反応にも思えるが、“創作だから”“当時はそういう世の中だったから”という理屈は、もはや通用しなくなりつつあるということ。ファンタジーの世界で生きる宝塚も、世間の風とは無関係ではいられない。

「日本演劇界最強の集客能力を誇る宝塚ですが、皇帝や貴族、公家や武士などが題材となる作品が多く、身分差別については少々鈍感な印象は否めません。“白人の主人に仕える黒人”が出てくるような作品も多いですし、そういった人物の台詞回しが『オラが……』『……ですだ』など、無学を強調するようなパターンも多い。宝塚は基本的に政治的なメッセージとは無縁ですが、しばしば登場する“黒塗り”を含め、あるべき姿を考える時期に来ているのかもしれません」(同)

 夢から現実に引き戻されるような話を宝塚ファンは望んでいないだろうが、注釈だらけの作品になっては興醒めである。

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最終更新:2020/06/16 22:00
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