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『家、ついて行ってイイですか?』下北沢で出会った、フォトジェニックな青学4年女子の過去

老婦人が病気になって初めて知った夫の愛「いま、1番最高の喜びです」

 山口県防府市に向かった番組スタッフは、移動販売車で買い物をする紳士に声を掛けた。男性の年齢は83歳。実年齢が意外に思えるほどの若さを保っており、ゆったりとした話し口からはどこか品性を感じる。

 訪れた自宅は、5LDKの母屋に離れもついた、築80年の立派な一軒家だった。キッチンに案内してもらうと、物は多いものの綺麗に整頓してある。

男性   「今、僕が主夫で使ってます。家内が体の調子壊したから」
スタッフ 「以前は、奥様のほうがお料理をされていた?」
男性   「そうそう。ここはね、もう(妻の)絶対的な領域だった。男子厨房に入らず、一切入っちゃいけんって言われちょるから、手伝いもしなかった」

 冷蔵庫を開けると、スイカを常備しているようだ。

「家内が好きで。家内のおやつ」(夫)

 他にも自家製のキュウリのピクルスが漬けてあるし、庭の畑から採った梅で作った梅酒は美味しそうだ。梅酒は奥さんの好物だという。

 居間には80歳になる奥さんがベッドで休んでいた。このご夫婦に馴れ初めを聞いてみた。おふたりはお見合い結婚で、今年で結婚56年目だそう。

夫 「当時、僕は27歳で、(妻は)24歳だったか。お互いにもう年だから、『結婚しなさいよ』ちゅうように急かされて。印象的にどうこうちゅうのは……」
妻 「ハッハッハ、なかったですって(笑)」
夫 「選り好みするような時代じゃなかった」

 奥さんが患っている病気は直腸がんという。手術をしたものの、腫瘍をとることはもうできなかった。

「徐々に腫瘍は進行していってるとは思う。余命半年って言われたときにはさすがに……ショックじゃあありましたね」(夫)

 でも、余命宣告を受けてからもう1年半が過ぎた。奥さんに生きようとする意欲があったからだろう。それまで、男性は絵に描いたような亭主関白で奥さんと接していたらしい。仕事一筋で、家のことは任せっきり。奥さんに声を掛けさえしない。

「でも、私がこの病気になってからまるで違うんですよ。夜中でも起こして、助けてもらわなきゃいけんこともありますので。主人はその世話をずっとしていかにゃいけんのだからね。私は『死んだほうがいいよ』って言ったんですけどね、主人が『いや、生きなきゃ』って励ましてくれて、美味しいものを食べさせてくれてね」

 部屋の隅に目をやると、瓶に黄色い花が生けてある。庭で珍しい花があったら瓶に差し、奥さんの見える場所に置いておくのだ。生きるのを諦めようとしていた伴侶に、「生きなきゃいかん」と夫は生きる意欲を与えていた。

「こんな立派な男性じゃったっていうことが、この病気をしてから初めてわかりました。本当にね、びっくりしましたよ。これだけの親切があるんだと思いましてね……。私としてはいま、1番最高の喜びです」(妻)

 涙を拭いて感謝の言葉を語る奥さん。しかし、病気が判明した去年までは、ご主人も亭主関白を貫いていた。50年以上の夫婦生活。長い年月だ。常に優しく接することができればいいに決まっているが、この年代の男性にとってそれはなかなか難しい。奥さんは夫の愛を80歳になって初めて知り、ご主人も困難が訪れるまで、素直に愛を伝えることができなかった。病気になって初めて幸せを感じられたのかと思うと後悔が襲い、少し複雑な気持ちになってしまう。

 とは言え、2人が連れ添ったのは、お互いが何も感じられなかったら不可能な年月だ。今まで一緒に過ごした時間も含め、妻は夫の愛を感じていたのだと信じたい。ご主人の優しさで余命を超えられた奥さんが、1日でも長く生きられたらいいと願う。

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