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『家、ついて行ってイイですか?』「死にたい」が口癖の父が叶えた、娘との共演ライブ。「死にたいなんてすみません!」

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

『家、ついて行ってイイですか?』「死にたい」が口癖の父が叶えた、娘との共演ライブ。「死にたいなんてすみません!」の画像1
『家、ついていってイイですか?』(テレビ東京系)

 9月16日に放送された『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、3時間半の拡大版SP。ちなみに、10月からこの番組は現在の1時間枠から2時間枠へ拡大すると発表されたばかりだ。それを想定しながらSPを見ると、あることがわかってきた。ディープな事情を抱える人が登場するのは、深い時間になってから。今回の特番でもエンジンがかかったのは21時以降だった。

【駒場東大前】ADHDを理解し、生きやすくするために工夫された汚部屋

 駒場東大前駅でスタッフが「家、ついて行ってイイですか?」と声を掛けた女性は、現役東大生。清潔感漂う彼女の口から出たのは、意外な言葉だった。

「人が入れるレベルの部屋の汚さじゃないんですよ。物が散乱してて、今(苦笑)」

 そんな風には見えないが、自宅に到着するとまさに汚部屋だった。まるで、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)のヒロイン・多部未華子の部屋のような散らかりっぷり。スタッフが家に入る前、「ちょっと待っててください」と付け焼刃的に室内を整理したようだが、どこをどう片付けたのか全くわからない。特に気になるのは、至るところに転がっているペットボトルだ。飲み終わったら袋に捨てる、それを習慣化すれば済む話なのだが、その感覚自体がなさそうに見える。女性は汚部屋の理由を明かした。

「あのですね、私……これでも頑張ってるんです。物凄く頑張ってこれなんです(苦笑)。高機能の発達障がいというか、ADHDなんです。集中して物をしまうところまでができない。衝動性が強いので、何か考え事をしていて『ああ、あれを』って思いつくと物をそこら辺に置きっぱなしにして、次のことをやっちゃうみたいな」

 しかし、彼女は自分の特性をわかっている。だから、東大に合格した。

「集中しやすい媒体っていうのがあって、私は文字を読んでるときは結構集中できるんです。なので、問題を解いたり、先生の話は聞けないけど、参考書を何度も読み返すとか、読むことを勉強の中心に据えました」

 他大学の入試では、日本史の問題で出来事や年号が問われがちだが、東大は名称より「どうしてその戦争に至ったのか?」「そのときの政治はどういう動きがあったのか?」といった大枠の流れを重視する傾向にある。文章読みが得意で、さらに物事をストーリーとして理解していた彼女にとって東大はうってつけだった。

「実は早稲田も落ちてるんです。(問題が)解けなくて……(苦笑)。東京大学の問題の種類と私の特性が合ってた。東大さまさまですね、本当に。入れてくださってありがとうございます」

「できないことを頑張ってするのではなく、できることで代替しよう」が彼女の考え方。それは、勉強だけでなく日々の暮らしも同じだ。例えば、パッと見は散乱しているこの部屋にも彼女なりの工夫が施されていた。自分の動線を研究し、あらゆる物を緻密に配置しているのだ。物干し竿と洗濯物が遠いと洗濯する気がなくなるので、物干し竿は部屋の中央に置かれている。起きてすぐ水が飲めるように、冷蔵庫はベッドのすぐ近くに配置した。その後、すぐ出かけられるようにジャケットも同じ動線の上に掛けてある。散らかったこの家は、彼女にとって過ごしやすくするために工夫した結果なのである。

 ADHDの特性を生かすに至るまでは、きっと大変だったと思う。ADHDであろうとなかろうと、自分のことをこれだけわかっている人は少ないと思う。自分の苦手を理解し、乗り越える彼女の姿勢からは学ぶべきものが多い。そして、エールを送りたくなる。生きづらさを感じる人にとってこの女性は希望の光だ。見ていてポジティブな気持ちになった。

「ADHDでもこんな感じで生きていけますっていうことを自分で示していきたいっていう思いがあって。なので、心理学の方面で、ADHDの症状で大変な思いをしている子どもたちがどうやったら生きやすくなるのか、過ごしやすい世界になってくれたらいいなあって思って、今はその研究をしています」

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