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男性アイドル“ビジュアルだけを消費するファン”はもういない──JO1、山口達也、関ジャニ…etc.三次元オタクとメディア論教授の対話(後編)

文=有馬ゆえ

 近年、ジャニーズをはじめとした男性アイドルたちが差別意識を露呈し、炎上している。前編では、亀梨和也の「スカートめくりを武勇伝のように語る事件」、ジャニーズWEST中間淳太「レディースデーなくせ事件」をひもときながら、彼らがなぜ時代錯誤な言動を繰り返してしまうのか考えてきた。後半は別の2つの事例を取り上げながら、メディア文化論、フェミニズムを専門とする大妻女子大学の田中東子教授に解説していただこう。
<前編はコチラ

<座談会参加者>

A子……20代のジャニーズファン。SMAPファンだった母親の影響で幼少期からジャニオタ人生を歩み、いつしかジャニーズJr.箱推しに。現在の担当は美 少年の浮所飛貴。

B美……30代のK-POPファン。SHINeeのテミンに出会い、 K-POP沼に転落。現在はNCTのユウタと元X1のキム・ウソクを推しつつ、JO1の動向にも注目している。

C子……若きイケメンを愛する40代のワーママ。ジャニーズ、K-POP、LDH、2.5次元などを経由したのち、King & Prince平野紫耀に魅了されて再びジャニオタに。

日本でも世界でも、顔と歌・ダンスだけじゃ天下は取れない

<CASE 03>JO1メンバー、kemioを表して「オネエ口調」「女の子っぽい」事件
男性アイドルグループJO1が「ViVi」(講談社)2020年5月号の紙面上でYouTuber・モデル・タレントのkemioと共演。それに先駆け、「ViVi」公式TwitterではJO1メンバーが共演相手に関するヒントを語る動画を配信。鶴房汐恩が「オネエ口調っていうイメージ」、豆原一成が「女の子っぽい方」という表現を使い、SNSでJO1ファンたちが苦言を呈した。

「ViVi」10月号(講談社)

B美 私の最近の推しグループJO1の話もいいですか? 彼らは韓国で社会現象にもなった人気オーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)シリーズの日本版番組『PRODUCE 101 JAPAN』から生まれた11人組です。彼らは「グローバルボーイズグループ」を称して、世界の頂点を目指しているはずなんですが……。

A子 それにしてはお粗末なジェンダー認識ですね。

田中東子教授(以下、田中) 2017年の#me too以降、東アジアでもフェミニズムが盛り上がり、性差別的な発言やセクシュアリティのステレオタイプ化を批判的に捉える人が増えています。セクシュアリティを固定化する「オネエ口調」「オカマ」といった表現が、男らしさ/女らしさという枠組みを越えていこうというムーブメントのなかで、侮蔑的な言葉であるという認識が広がっています。

A子 「ViVi」もkemioを看板モデルにしておいて、この発言を公式ツイッターに載せるのかぁと思いますけどね……。

田中 男性アイドルたちを取り巻く事務所や媒体にも、テレビ業界と同じく前時代的な差別的な空気が漂っているんでしょうね。男の子たちの無意識的な発言を切らずに載せるということは、どこかにトランスジェンダー、トランスセクシュアルの人をいじってもいいという感性があるからだと思いますよ。

C子 JO1のファンにはK-POPファンも多いから、K-POPアーティストとの意識の差にがっかりしたところもあるみたいだよね。

B美 そうなんですよ。例えば、BTSのRMは国連本部で開かれたユニセフの会合で、世界の若者たちに向けて「自分自身のことを話そう。(中略)あなたの声を聞きたい。あなたの信念を聞きたい。/あなたが誰なのか、どこから来たのか、肌の色や ジェンダー意識は関係ありません」と語りました。特に若いK-POPファンたちは、こうした振る舞いこそが世界のトップに立つべきアイドルのものだと思っている気がします。

A子 JO1のメンバーたちは、K-POPアーティストのどういうところが女性に受けているのか、わかっていないのかもしれない。評価されているのは、見た目や歌、ダンスだけじゃないってことを。

田中 舞台『弱虫ペダル』の演出家の西田シャトナーさんが「ユリイカ」(青土社)のインタビューで、キャストについてこんなことを話しています。引用しますね。

「イケメンたちが揃っているわけだから、そのなかでより観客の気持ちを掴もうと思ったら(中略)表面よりも精神性も含めた自分の技術アップを図らないと成果の出ない現場なんですよね。そういうふうに鍛えられてきた子たちは結果的にルックスに頼るんじゃなくて、別のことを磨き上げることによって生き残ってきている。女の子たちは彼らの美しさが好きだとは言っていても実際にはそこをよくわかっていて、やっぱりすばらしいひとが好きなんですよ」(「ユリイカ」2015年4月臨時増刊号)

 ファンが見ているのは、イケメンのその先に何があるのか。もう今の時代、知性や弱者に対する振る舞い、社会的な事柄に対する考え方など、内面も含めて応援しているファンが多いのです。

B美 逆に言えば、アイドルも人間性を見てもらえるようになったということですよね。

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