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「政府は“最悪のシナリオ”の想定を怠っていた」報告書の衝撃 日本政府反省なきコロナ対策の裏側

まともな議事録もない…まともな議事録もない…新型コロナの裏側

 さて、同報告書によると、「8月28日、安倍首相はコロナ対応を振り返り、『今まで
の知見がない中において、その時々の知見を生かしながら、我々としては最善を尽くしてきたつもり』と述べた。官邸スタッフはその実態を次のように表現した。『泥縄だったけど、結果オーライだった』」としている。

 この官邸スタッフの発言が本当であれば、何とも無責任ではないか。「最善を尽くした」「出来うる限りの対策を取った」というのではなく、“泥縄”だったことを明らかにし、その上で“結果オーライ”と言っているのだ。そこには反省もなく、政治に携わる者としての国民に対する思いの欠片もない。

 ところで、この報告書を鵜呑みにすることをできないのも指摘しておこう。そもそも、新型コロナについても、10月8日の「菅義偉内閣、日本学術会議任命拒否にダンマリ 情報公開制度と公文書問題でも改革する意思なし!」(https://www.cyzo.com/2020/10/post_254807_entry.html)で、「新型コロナウイルス感染症に係る事態は『歴史的緊急事態』に該当し、『歴史的緊急事態』の決定がされると、政府全体として対応する会議等については、『会議等の性格に応じて記録を作成』、政策の決定または了解を行う会議等については、『開催日時、出席者、議題、発言者、発言内容等を記載した議事の記録等に関する記録を作成する』ことになっている。だが、『新型コロナウイルス感染症対策専門家会議』については、発言者名の記載のない議事概要が公表されたことが問題となった」と指摘したように、まともな議事録すらないのだ。

 今回の報告書も、官邸スタッフ等は基本的に匿名を条件としており、正式な議事録など公文書を元にしているものではない。換言すれば“伝聞”を中心にまとめられたものでしかない点には注意が必要だろう。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2020/10/12 12:02
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