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押井守原案の映画『ビューティフルドリーマー』 主演の小川紗良が語る「メタ作品」の撮影舞台裏

「責任とってね」という言葉の重み

押井守原案の映画『ビューティフルドリーマー』 主演の小川紗良が語る「メタ作品」の撮影舞台裏の画像5

 重層的な意味を持つシーンやセリフも多く、あえて鑑賞者の視点を混乱させるメタフィクションならではの奥行きがある映画だけに、演じる役者も一筋縄ではいかなかったという。

「作中で私が外に一度ハケてから画面に戻ってきて、突然ナレーションを読み始めるシーンがあるんですけど。それが劇中の役を演じるサラなのか、それとも映画の外の私そのものなのか、急に現場で本広さんが提案した謎のシーンで。映画の外から入ってくるような流れだったので、私は現場ですごく戸惑って『これどういうことですか? いるんですか?』と相談したんですが、完成版を見てこのシーンがあることでまたひとつ不思議な引力を持つ映画になっているなと感じました。いろんな時間や経験を経て、本広さんが獲得した映画づくりの感覚なのかなと思いましたね」

押井守原案の映画『ビューティフルドリーマー』 主演の小川紗良が語る「メタ作品」の撮影舞台裏の画像6

 かねてより押井監督の名作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のファンを公言してきた小川さん。過去のインタビューでは同作の「責任とってね」という印象的なセリフについて、「すごく怖い言葉」と小川さんは語ったこともあるが、本作でもこのセリフはキーワードとなっている。

 「すごく力のある言葉で。撮影的にも最後のシーンだったんですけど、稽古のときから今回どんな気持ちでこのセリフを言うべきか、ずっと考えていました。でも、結局は一人ひとりみんなの表情を見たとき、あたたかい素直な気持ちから自然と出てきたようなセリフになって。演じる側もみんなそれぞれの解釈を持っていたと思いますが、私自身は想像もしていないところに最後は到達した気がします」

 “監督絶対主義”を掲げる新たな映画実験レーベルの記念すべき第1弾作品である本作で、「ビューティフルドリーマー(夢みる人)」のモチーフはどのように回収されたのか? 往年のファンもぜひ劇場でチェックしてほしい。

小川紗良(おがわ・さら)
1996年、東京都出身。高校生の時に雑誌に掲載され、女優としての第一歩を踏み出す。早稲田大学に通いながら女優・映像作家として活動し、後者としては『あさつゆ』『BEATOPIA』『最期の星』を発表。3作品ともゆうばり国際ファンタスティック映画祭やぴあフィルムフェスティバルなどの映画祭で入選する。大学卒業後は連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)でメインキャスト、『フォローされたら終わり』(AbemaTV)でヒロインを好演。今年に入ってからも『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系)『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 Season2』(BSテレ東)、『名建築で昼食を』(TVO/BSテレ東)などに出演している。

『ビューティフルドリーマー』
監督:本広克行/原案:押井守『夢みる人』/脚本:守口悠介/配給エイベックス・ピクチャーズ 公式HP https://beautifuldreamer-movie.jp/
C) 2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会
2020年11月6日(金) テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて全国順次公開!

1988年生まれ、道東出身。いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。

Twitter:@tsuitachiii

いとうりょう

最終更新:2020/11/06 20:16
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