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第四次韓流ムーブメント来たる──無双〈NiziU〉の快進撃! K-POPに心酔する10代

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NiziU公式サイトより

 かわいらしいルックスの女の子、鍛え抜かれた肉体ながら親しみやすい男の子。最先端のサウンドに合わせて、誰もが見事に踊れて、高い歌唱力まで合わせ持つ。10代の若者たちを刺激し、憧れすら抱かせるには、十二分すぎる要素――これが、今なお音楽市場を席巻するK-POPの現在進行形だ。先ごろ日本で誕生したガールズ・グループ〈NiziU〉の破竹の勢いを軸に、K-POPと10代の蜜月に迫る。

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(絵/小笠原 徹)

 2020年、彗星のごとく現れた〈NiziU〉の勢いが止まらない。NiziUとは、ソニー・ミュージックエンタテインメントと韓国の芸能事務所JYPエンターテインメントが手を組んで生まれた9人組ガールズ・グループ。去る6月に配信されたプレデビュー・デジタル・ミニアルバム『Make you happy』は、国内主要音楽配信サイトにおいて、シングル/アルバムランキング1位の合算で64冠を達成。YouTubeで公開されたミュージックビデオは、公開初日で1000万回再生、10月上旬の時点で1億4000万回再生に届く勢いだ。

 NiziUは、世界で活躍できるガールズ・グループを発掘・育成するオーディション「Nizi Project」(以下、NP)から誕生した。日本語でコミュニケーションできることを条件に国籍不問で参加者を募集し、1万人以上が応募したオーディションの様子は、『Nizi Project Part1/ Part 2』(Hulu)、『虹のかけ橋』(日本テレビ系)で放送され、若者を中心に注目を集めた。

 NPは「PRODUCE 101」に代表される、韓国で人気の高いアイドル・オーディション番組を下敷きに制作されている。そのフォーマットは、スターを目指す参加者が切磋琢磨し合いながら過酷な審査に臨み、成長していくというもので、日本のK-POP好きにもファンは多い。さらにNPは、参加者の多くが同じ日本国籍で、10代の女の子という点が功を奏し、日本の若年層のハートをつかんだのだろう。好景気を知らない、いわゆる“絶望の世代”にとっては、努力の代償行為という側面もあったのかもしれない。

 一方、K-POPにあまり親しみのない中年層への訴求を促したのが、20年1月からたびたび放送された『スッキリ』(日本テレビ系)でのコーナー企画だ。朝の情報番組ということもあって、日本中のお茶の間にその名が届き、全世代にNPの認知や支持が拡大。オーディションを勝ち進むメンバーの名前や関連ワードは、ツイッターでたびたびトレンド入りするように。オーディションが佳境を迎えた4月以降は、ちょうど新型コロナウイルスの影響によるステイホーム期間と重なり、休校や在宅ワークの中で、テレビと向き合う時間が増えたことも奏功したといえる。また、メンバーたちの夢に向かうひたむきさや絆、『Make you happy』の底抜けに明るいサウンドと前向きな歌詞が、K-POPファンのみならず、多くの人にとって先行き不安なコロナ禍の希望の光になったとも考えられる。本稿では、NiziUが大きなヒットを呼んだ背景を読み解きながら、10代とK-POPの蜜月関係を分析していきたい。

変化する10年代後半の韓国の芸能プロ勢力図

 NiziUを仕掛けたJYPは、K-POP界のSMエンターテインメント、YGエンターテインメントとともに“K-POP三大事務所”と称されながらも、長く“永遠の三番手”と位置付けられてきた。例えば、09年頃からの第二次韓流ブームで活躍したSMの東方神起や少女時代、SHINee、YGのBIGBANGや2NE1と比較すると、JYPの2PMやWonder Girlsは地味な印象を受ける。

 しかし、地道に手堅い功績を納めてきたJYPは、15年以降、TWICEやStray Kids、ITZYなどの人気グループを次々と輩出。中でも日本人メンバーが3人在籍するTWICEは、日本でも第三次韓流ブームの火付け役となり、17年より紅白歌合戦に3年連続で出場している。そして20年、満を持して誕生したのがNiziUというJ-POPとK-POPの架け橋だ。K-POPの日韓中での受容に詳しい長崎県立大学の吉光正絵准教授は、JYPの創業者であり、アーティストでもあるJY・パークが日本のアイドル文化を熟知していると指摘する。彼はNPの総指揮を執り、審査を行うと同時に『Make you happy』などの作詞・作曲を手がける人物だ。

「JY・パークはJ-POP、特に小室哲哉から強い影響を受けたと語っており、自身もSMAPら日本のアーティストに楽曲提供をしているプロデューサーです。韓国ではヒットメイカーとして知られ、日本で2PMやTWICEを成功させた経験からも、ヒットの傾向はよくわかっているはずです」

 またJYPは、地道な海外での現地化戦略でも知られる事務所だ。例えば、09年からの数年間、Wonder Girlsに北米・カナダをバスツアーでドサ回りさせることで、ビルボードのシングル・チャートにシングル「Nobody」をチャートインさせたり、17年には男性アイドル市場が芽生えたばかりの中国から、オーディション番組発のBOYSTORYを誕生させたりと、他事務所と異なる形で海外市場を開拓してきた。

 JYPと並んでSM、YGを抑えるのが、防弾少年団(以下、BTS)を成功させたビッグ・ヒット・エンターテインメントだ。同社代表のパン・シヒョクはもともとJYPのプロデューサーで、今でもJY・パークと親交が深い人物。双方の事務所が成長した理由として挙がるのは、タレントを含む社員の努力や品格を重視する人材育成哲学だ。近年の韓国芸能界では、不祥事が続々と発覚していることを背景に、タレントや芸能事務所にも品性が求められており、特にスキャンダルの多いYGは窮地に立たされているといわれる。実際に、NPではNiziUだけでなくJY・パークにも大きな注目が集まったが、その一因は、まさに参加者のスキルのみならず人間性をも評価する姿勢にあった。

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