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『フリースタイルティーチャー』いとうせいこうも絶賛、アイドル×ヒップホップの新ジャンル誕生

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

‘「般若 VS R-指定」を思い出した成瀬 VS 恋汐’

 続いてのバトルは恋汐 VS 成瀬瑛美(でんぱ組.inc) & KEN THE 390。バリバリの正統派アイドル対決である。

 元々、恋汐のラップはディスをしないスタイルだ。しかも、対戦相手は先輩アイドルの成瀬。1ラウンドの彼女のラップを聴くと、ディスどころかリスペクトが強すぎるように感じた。

恋汐 「憧れた本当 あの頃ディアステージで2人 夜歌った
    あの頃から今 やっと汐はここに来た」
成瀬 「覚えてるよ あの時2人で歌った事
    帰り道 大好きだって思ったよ
    汐りんちゃんの事 今も大好きだけど
    すっごく退屈 さっきからずっと聞いてるけど
    同じようなリズムでしか ラップが出来ない
    そんなんじゃ とっとと帰って」

 成瀬の言う「帰り道」とは、2014年に秋葉原「ディアステージ」で成瀬と恋汐が共演した時に2人が歌った曲を指している。成瀬は思い出の曲タイトルを密かにサンプリングしていた。しかし、ただのノスタルジーでは終わらない。成瀬は恋汐の思いを受け止めつつ、辛辣なディスを始めた。さらに、「恋汐りんご おい血を見んぞ」と畳みかけたのは圧巻! 押韻があまりに不穏すぎるのだ。センチメンタルなキャッチボールを呼びかけた恋汐を「それじゃダメなんだ」と突き放した先輩・成瀬が1ラウンドを先取した。

 2ラウンドに入っても、成瀬は攻撃の手を緩めなかった。

成瀬 「全然 熱さが伝わってこない バイブス足りないじゃん
    私の方が楽しんでる 後輩とやれるの楽しい
    もっと見せてくれないと 超えられないよ 私が太陽」
恋汐 「そう えいたそは太陽みたいな黄色
    汐は恋するりんご色の赤
    信号機で言ったら黄色は注意 汐はギリギリ渡る
    汐の色は赤 ここでえいたそ止めるって事
    えいたそを止める そして超える
    マイナスからの№1」

 恋汐の信号のライムは文句なしのパンチラインで、審査員のAKLOも評価するほどの完成度。そして、最後の「マイナスからの№1」はでんぱ組.incの楽曲『でんでんぱっしょん』のラップ、さらに成瀬のパートでもある歌詞からのサンプリングである。リスペクトと共に先輩を超えようとする恋汐。2本目は恋汐が取り返し、1-1のイーブンに持ち込んだ。

 3ラウンドに入ると、でんぱ組を2月に卒業する成瀬に恋汐が迫った。

恋汐 「ここで超えられなかったら 汐はいつえいたそに追い付くの」
   「えいたその卒業 本当寂しいけど アイドル界のことは汐に任せて
    今日はえいたそに引導を渡そう」
成瀬 「残念でした 卒業してもそれはグループの事
    私は生涯現役で アイドルとして成り上がる」
    
「もう超えるチャンスはないから今日超える!」と立ち向かう恋汐に「私はこれからもアイドルだし、まだ成り上がるからこれからも追いかけてこい」と懐の深さを見せた成瀬。アイドルのラップで見たかったのは、ひょっとしたらこういうバトルだったかもしれない。結局、ストーリーのあるバトルが最も熱くなるのだ。2人の関係性から、筆者は「般若 VS R-指定」のバトルをちょっとだけ思い出してしまった。3ラウンドは成瀬が奪取し、このバトルは成瀬が勝利した。

 バトル終了後、ステージ上で涙を見せた2人。振り返ると、恋汐は「はわ~」の口癖を1度も言っていない。それくらい彼女はマジだった。恋汐は1ラウンドからずっと成瀬にラブレターを送り続けているように見えた。彼女が流した涙は悔し涙ではなく、思いを伝えられた喜びの涙だったはず。リアルだし、HIP HOPだ。審査員のいとうせいこうは両者のバトルについて「新ジャンル誕生」と絶賛した。

 正統派アイドルの成瀬と恋汐の参戦は、他の3人と違ってアウェーへの挑戦に見えた。でも、今になると2人のホームに見えてくる。アイドルとフリースタイルバトルを掛け合わせた“新ジャンル”を作り上げたのは彼女たちなのだから。アイドルとして培った実力が反映されるという意味でも、この方向性は新しい。やっぱり、今回の3rd Seasonは成功だ。

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/01/19 22:00
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